WCRP/RfP日本委員会女性部会 被災地で『発達障がい児者受け入れのてびき』発刊イベント

災害時の避難の際、発達障害児者に対しては周囲の配慮や支援が必要とされる。宗教施設で受け入れる際に必要な手立てをまとめた『災害時に備えて――発達障がい児者受け入れのてびき』が今年5月に世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会女性部会から発刊され、その関連イベントが10月3日、仙台市市民活動サポートセンターで行われた。同委女性部会会長を務めるカトリック東京大司教区アレルヤ会の森脇友紀子会長、宮城県宗教法人連絡協議会会長である立正佼成会仙台教会の近藤雅則教会長が出席。加盟教団の信徒ら約50人が参加した。

参加者は『てびき』を開いて講演を聴いた

災害対策基本法では、災害時に特別な配慮が必要な人を「災害時要配慮者」としている。イベント冒頭、同女性部会アドボカシー委員会責任者の黒住昭子黒住教婦人会会長が、災害時の混乱の中で、要配慮者が置き去りにされることが起こっており、特に発達障害児者は外見では障害の有無が分かりにくく、配慮されにくいと述べ、周囲の理解が進むよう制作したことを説明した。その上で、宗教施設で受け入れるための事前の準備や、避難所の創意工夫など『てびき』の内容を紹介した。

続いて、障害児者の親の会「本吉絆つながりたい」で活動する小野寺明美氏が登壇した。

講演する小野寺氏

『てびき』の発刊は、同女性部会のメンバーが宮城・気仙沼市で、「本吉絆つながりたい」のメンバーと交流したことがきっかけになった。この日、小野寺氏は、東日本大震災発生後、避難所で周囲との関係に苦労した、発達障害児の母親の体験を紹介。避難所となった体育館はその子が普段、遊び場として利用しており、避難所になっていることが理解できず、トラブルに発展し、子供に毛布をかぶせ続けたと明かした。また、感覚過敏を有する発達障害の人は、大勢の人の声が響く避難所ではパニックを起こしやすく、一般の避難所での生活は困難であり、配慮が必要と話した。

この後、同震災の際、自身の寺院に地域住民やボランティアを受け入れた小野﨑秀通・曹洞宗洞源院住職と中村瑞貴・浄土宗愚鈍院住職がそれぞれの取り組みを発表。この中で、中村氏は寺院の座敷をボランティアの宿泊部屋として提供したことで、災害時の宗教施設の受け入れに関心が高まり、2014年に行われた「復興に向けた宗教者円卓会議in仙台」に参加したことを報告した。

災害発生時の宗教施設の役割について語る中村氏

その会議で中村氏は、大勢の住民が身を寄せる避難所には、発達障害児者が避難しにくい事情を知り、宗教施設の役割をさらに考えるようになったと話した。その体験を基に、災害時要配慮者を受け入れる福祉避難所は、災害時に必要に応じて開設される二次的な避難所とされており、受け入れや運営体制などが整った施設から順次開設されていくため、災害発生直後は利用できない場合が多いことを説明。福祉避難所が開設するまでの期間、宗教施設がその役割を担う必要性を強調し、自助から公助への橋渡しとなる“共助”を担うことができると提案した。

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