TKWO――音楽とともにある人生♪ ホルン・上原宏さん Vol.1

日本トップレベルの吹奏楽団として知られる東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)。演奏会をはじめ、ラジオやテレビ出演など、多方面で活躍し、長年、「全日本吹奏楽コンクール」の課題曲の参考演奏も行っている。連続インタビューの11人目に登場するのは、ホルン奏者の上原宏さんだ。ホルンに魅せられたエピソード、音楽に向かう姿勢を教えられた恩師の言葉とは……。

演奏家としての姿勢を示した恩師の言葉

――ホルンとの出合いはいつですか?

ホルンといっても、最初はアルトホルンで、初めて演奏したのは小学校高学年の頃です。学校のクラブ活動として、管楽器の演奏を楽しむ器楽クラブができて、そこに入った私はいくつかの楽器を担当した後、アルトホルンを任せられました。

できたばかりの器楽クラブには当初、十分に楽器がそろっていませんでした。徐々に買いそろえられ、数カ月ごとに新たに楽器が増えていったのですが、そのたびに私が新しい楽器を任されました。私は小学3年生からピアノを習っていて、器楽クラブの中では音楽に親しんでいる方だというのが理由だったようです。

最初はトランペット。それからユーフォニアム、その後にアルトホルンを吹くようになり、卒業まで担当しました。中学校でも吹奏楽部に入ったのですが、アルトホルンはありませんでした。それで、一番近い楽器であるホルンを吹くようになったのです。ですから、小学校でアルトホルンに出合い、それがあって中学校でホルンを吹くようになったというのが正確なホルンとの出合いになります。

――中学の吹奏楽部の思い出は?

吹奏楽部では、顧問の先生から音楽に向かう姿勢を教えられ、影響を強く受けました。「日常生活での細かなことの積み重ねが、音に表れる。生き方が、そのまま奏でる音楽に表れるんだよ」。演奏の指導だけでなく、先生からはいつもそう言葉を掛けられました。

ホルンに夢中ではありましたが、良い演奏さえすればいい、音楽の出来さえ良ければ他はどうでもいい、という気持ちにならなかったのは、先生のおかげです。「音楽とは、自分の生き方と一体である」――先生の言葉を信じ、生活を整えることを大切にしようと考えていました。中学生の時期にそのことを教えてくださったことに感謝しています。とても心に残りましたから。

良い音を奏でるためには練習を重ね、コツコツと努力することが不可欠です。目標を定めて、自ら設定した一つ一つの決め事を毎日、しっかり行い続けることは音楽に限らず、どの分野においても一番大切な姿勢なのではないでしょうか。怠らずに地道に続けることは、人間的な成長にもつながると思います。そうした意味で、音楽に真摯(しんし)に向き合うことによって、より良い生き方が、充実した人生がもたらされるのではないかと今は感じています。生き方が自らの音楽に影響を及ぼし、音楽への向き合い方が人生を形づくる――相互に作用することを教えてくださった先生の言葉は年齢を重ねるにつれ、重みを増しています。

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