JARと協働による一食研修ツアー「国内難民支援事業」 日本国内で暮らす難民の現状を学ぶ
難民の人々の声を聞き
続いて、ビルマ(現・ミャンマー)難民のチョウチョウソーさん(53)が講演に立った。チョウさんは1988年に同国の民主化運動に携わったことで政府による弾圧を受け、91年に家族を残して日本に逃れてきた。工事現場などで働きながら世界各地に散った同胞に向けて雑誌を発行。98年に日本政府から難民認定を受けた後、妻を日本に呼び寄せ、東京・豊島区内でミャンマー料理のレストランを開いた。
講演の中でチョウさんは、日本で民主主義による自由の尊さと、それを守る個人の責任の大切さを学んだと述懐。この経験をいつか母国の発展に役立てたいとし、「人権や自由が保障された今の日本の幸せな状況を、改めて考えてみてほしい」と参加者に語り掛けた。
参加者の一人、弘前教会会員(23)は、「チョウさんから、『学んで得た知識を行動に生かす』大切さを教わった。来年、大学を卒業して就職することが決まっているが、難民の方が共に暮らしていることを認識し、仕事を通じて皆さんの生活の力になれるようにと強く感じました」と語る。
この後、東京・豊島区にある宗教法人「日本イスラーム文化センター・マスジド大塚」を訪問。クレイシ・ハールーン事務局長から、難民として来日した人への滞在場所の提供や、就労許可が下りた人への仕事のあっせんといった取り組みについて説明を受けた。
この時、難民認定を目指すパキスタン人の男性が礼拝に訪れ、一行に自身の境遇を明かした。「在留資格のない仮放免中で就労ができない。定期的に入国管理局に行くが、職員から同じ事を何度も聞かれ、そのたびに気持ちが沈む」と話した。