JARと協働による一食研修ツアー「国内難民支援事業」 日本国内で暮らす難民の現状を学ぶ

「一食(いちじき)研修ツアー 国内難民支援事業」が9月2、3の両日、東京・杉並区にある立正佼成会の第二団参会館や、同新宿区にある認定NPO法人「難民支援協会」(JAR)の事務所などを会場に開催され、本会会員ら9人が参加した。同ツアーは、会員が一食平和基金の支援先を訪問し、国内外の社会問題について学びながら「一食を捧げる運動」に対する理解を深めるもの。一行はJARスタッフによる講義や日本で暮らす難民との面会などを通じ、深刻な難民問題の一端に触れた。

世界で急増する難民 日本の受け入れ状況は?

現在、世界では難民が急増している。国連の発表によると2016年末時点で6560万人。シリアなどの紛争をはじめ政治的な迫害、大規模災害の発生が主な要因だ。難民は国際的に保護することが難民条約で定められており、日本も批准している。今回のツアーでは、日本の現状を中心に学びを深めた。

一行は2日、第二団参会館で、JARスタッフから日本の難民制度や難民の受け入れ状況、地域社会で生きる難民の自立支援などに関する講義を受けた。この中で同広報部の田中志穂氏は、世界で難民が急増する背景とともに、これまで、難民が発生した国の周辺国に加え、先進国では、欧米諸国が多数の難民を受け入れてきた状況を説明した。一方、日本は受け入れに消極的で、昨年は1万901人の難民申請に対し28人の認定にとどまった現状を紹介した。消極的な理由として、難民認定の実務を担う法務省入国管理局が、難民の保護を目的にするよりも、彼らの入国を管理し取り締まるという視点で審査していると指摘。「難民申請時に、母国で生命の危機に直面した証拠を求められますが、切迫した状況で国外に脱出してきた人々にとって、十分な証拠を収集して提出することは非常に困難」と語った。

JARの取り組みについて説明する鶴木氏

また、同定住支援部コミュニティー支援担当の鶴木由美子氏は、国内で暮らす難民の人数が申請中の人も含め2万5000人に上っている実情を報告。これを踏まえ、日本人ボランティアの協力による日本語教室の開催や行政職員との街歩きの実施といったJARの取り組みを紹介した。

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