JARと協働による一食研修ツアー「国内難民支援事業」 日本国内で暮らす難民の現状を学ぶ

JARの取り組みを知る

3日、一行はJAR事務所を訪問。コンゴ民主共和国(旧ザイール)から逃れて日本で難民申請中の男性5人と面会した。

同国は1960年にベルギーから独立後、政府側と反政府側の間で2度の内戦が起き、社会は混乱したままだ。2002年に和平合意が締結以降も、東部地域で反政府組織による紛争や暴動が頻発し、民主化を求める国民への政府の弾圧が続いている。

30代になる難民の男性は大学卒業後、母国で会社を経営していた。ある時、知り合いからの誘いを受けて、政府に抗議する活動に関わったことで警察から監視されるようになった。身の危険を感じて一昨年、日本に単身逃れたものの、所持金が底を突き、ホームレス状態の中で、JAR事務所に助けを求めた。サポートを受けて日本語教室に通い、昨春に難民認定を申請した。

JARの事務所を訪れた参加者は、難民申請中の男性らの話に耳を傾けた

面会の中で、在留資格があり就労先も見つかったが、生活は苦しく、難民として認定されるかどうかの不安が尽きないと胸中を告白。心の支えは故郷に残してきた妻と息子で、「難民認定を受けたら呼び寄せたい」と話した。

ツアーに参加した四日市教会会員(20)は、「日本では、難民認定されるのが困難で、大変な生活を送っている現実に驚きました。欧米諸国並みの保護がなされるよう願いながら『一食を捧げる運動』の実践により一層励みます。家族や教会の青年部、大学の仲間にも難民支援の必要性を伝えたい」と語った。

ツアーの最後に、あいさつに立ったJAR常任理事の石井宏明氏は、「一食を捧げる運動」による支援に対し、謝意を表した。その上で、難民と日本人が地域の中で、隣人として共に暮らしていくためには、「難民の方々が言葉や日本社会の仕組みを学ぶと同時に、私たちが難民を受け入れるために『変わる』という視点が重要です。違いを受け入れ、多様性を価値としていくことで、実はこれまで以上に多くの人が暮らしやすい社会が実現するのではないかと思います」と結んだ。