<Focus>宗教の枠を超えた多様な活動に感心 本会ローマセンターのアンドリュー・ジェームズ・クリスティさん(56)
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練馬教会の法座席でお題目を唱えるクリスティさん
長年にわたるサンガ(教えの仲間)の布教伝道によって世界中に教えの種がまかれ、現在、本会は18の国と地域に58の拠点を構える。教えを求め、本会に巡り合った海外会員の喜びや感動の声を紹介する。
◇ ◆
私は南アフリカ共和国のダーバンという町で生まれ、9歳の頃からヨハネスブルクに住んでいます。曽祖父はイギリス・スコットランド出身で、祖父の代にアフリカへ移住しました。
南アフリカ共和国は、1948年から90年代前半までアパルトヘイト(人種隔離政策)を実施した歴史があり、差別されてきた人々は適切な教育を受けられませんでした。その影響で、民主化した今も困窮する家庭や罪を犯す人が後を絶ちません。
さまざまな社会の変化を目にしてきた私は、経済や社会状況を理由に苦しむ人が大勢いることに胸を痛め、幼少期から過ごす大好きなこの町が、より良い環境になってほしいとの願いから、平和を実現する方法を模索していました。
立正佼成会を知ったのは、十数年前に北米国際伝道センター(RKINA)のウェブサイトを見つけたのがきっかけです。サイトに掲載されていた読経供養の音声を聞くと、不思議と気持ちが落ち着いたので、心が引かれました。その後、立正佼成会について調べていくと、自己を成長させるための実践的な仏教の教えやサンガのつながり、諸宗教対話・推進という宗教の枠を超えた多様な活動に興味を抱き、2013年に入会しました。ご本尊(教会勧請)を勧請し、わが家にご安置する時には、水藻克年ローマセンター長(当時)がローマから駆け付けてくれました。最愛の母と妹、親しい友人たちに見守られながら迎えたその日は感動で胸がいっぱいになり、この地で佼成会の教えを広めたいとの思いが湧きました。
その後、重度のうつ病を患った私は、自分自身のことをもっときちんと知りたいと思い、先祖をたどりました。調べていくと、母の2人のきょうだいが自死していたと分かりました。つらく苦しんだ先祖を弔いたいと思い、水藻センター長に相談して、お戒名を頂きました。そして、〈彼らの苦しみが和らぎ、法華経に出遇(であ)えるように〉と祈りながら自宅で先祖供養を続けると、次第に、霧が晴れるように心がすがすがしくなっていったのを覚えています。以来、先祖がいのちをつないでくれたおかげで今があると強く感じ、感謝の念が深まりました。
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昨年のお会式・一乗まつりに、練馬教会の一員として参加したクリスティさん。南アフリカでも温かいつながりをつくっていきたいとの思いを強めた
また、ローマセンター主催のオンラインでの研修や法座にも進んで参加しました。その中で、自らの人生の価値や、社会に貢献する方法を学ぶとともに、自己中心的な心を捨てて人々と触れ合えるようになり、うつ病を乗り越えられました。オンラインを通じて、アメリカやヨーロッパなどに住むサンガと交流できることも力になっています。
昨年10月、ご本尊(本部勧請)勧請のお手配を頂きました。東京・杉並区にある普門メディアセンターのご宝前の間でご本尊を拝受した時、自分の中からエネルギーが湧き出てくるのを感じました。教会でご本尊を拝受した時の感動がよみがえり、さらなる布教の決意を新たにする機会となりました。
私は今、国民の大半がキリスト教を信仰する南アフリカで、唯一の佼成会会員です。これまで、多くの友人や同僚に仏教の修行について話してきましたが、自分の信仰している宗教以外は受け入れ難いように感じます。それでも、教えを実践したことで物事が変化した喜びの実体験を伝え、苦しむ人の相談にのり、優しく親切に思いやりを持って触れ合っています。そうした日々の積み重ねが、仏教の教えを自然と広めていくと信じています。
いつの日か、ヨハネスブルクに道場ができるよう、あらゆる人々と協力し、精いっぱい精進することをお誓いいたします。