一食啓発月間 アフリカへ毛布をおくる運動 日本の思いを届けた最終配付(後編)

笑顔を守る支援をこれからも

21日から、隣国マラウイに移動した一行は、首都リロングウェから北部地域ムズズまで7時間ほど車に揺られ、地域住民に毛布を届けに赴いた。この旅では、どこに行っても歌と踊りで歓迎される。ムズズでも、500人ほどの人々が地面に座って手拍子に合わせて熱唱し、数人が踊りながらチームの到着を待ち構えていた。

マラウイの子供たちが見守る中、根本幹事(写真中央)からミッション最後の一枚が手渡された

ここが、今回の配付の最終地点。マラウイ赤十字社(MRCS)によって、地域に住む障害者や高齢者など400人が配付対象者として選定されていた。配付開始を宣言すると、長い列をなして人々が毛布を受け取る。最後の一枚は「アフリカへ毛布をおくる運動」の開始以前から携わる根本JBAC幹事が手渡した。

同運動は、広大なユーラシア大陸を挟む日本とアフリカの家族意識を育み、39年続いてきた。活動は終了しても、そのつながりは決して消えることはない。その一つの証しが現在、マラウイで実施されている「学校給食プロジェクト」といえるだろう。2014年から始まったこのプロジェクトに「一食(いちじき)を捧げる運動」の献金が充てられている。

現地の様子(クリックして動画再生)

給食を食べに、子供たちは学校を訪れる。食材を栽培しているのは地域の大人、そして子供たちの親だ。MRCSが苗や農機具を寄付し、農耕技術を伝授して、支援の手が離れても地域住民が自分たちで給食の提供を持続できるようにした。事業が定着したら次の学校に移るというように、国内の16校で支援を継続してきた。

23日、一行はマラウイ北部のルンピ地区を訪れ、同プロジェクトが展開されている4カ所の幼稚園(未就学児)、小学校(6~12歳)を視察。ある小学校では、給食が配られることで児童は学校を休まなくなり、退学者も減少、児童数が増加した。同プロジェクトによって栄養失調や疫病から身を守ることが可能となり、勉学に励む意欲の向上や生きる術(すべ)を身につける成長の一助となっている。

教育省の職員であるオスワッチ・チャオラさんは、「このプロジェクトを実施している学校は地域の中でとても成績が優秀なんだ」と順位表を見せながら誇らしげに語った。

アフリカの人々は歌って、踊って、陽気に見える。しかしその裏で、災害や貧困など苦境に立たされて涙を流す日もあるのかと考えると、ここの人たちがいつも笑顔でいられるように、形が変わっても誰かを思い行動し続ける大切さを実感した。