本会一食平和基金 JENを通じた緊急支援活動から パキスタン、アフガニスタンの報告会

JENは今年、政変による混乱が続くアフガニスタンのナンガルハル州で、女性の世帯主や障がい者がいる家庭に食料支援を行った(「Zoom」の画面)

立正佼成会一食(いちじき)平和基金は今年、大雨による洪水被害に見舞われたパキスタンと、政変による情勢不安や地震の影響を受けるアフガニスタンに、認定NPO法人ジェン(JEN)を通じて緊急支援を行ってきた。JENでは、両国で深刻化する人道危機に対し、食料や現金の支給など救援活動を続けている。10月19日、支援の現状などを伝える報告会がオンラインで開催された。当日は、来日したJENの現地代表者2人と、木山啓子事務局長が支援状況や受益者の声、活動に込めた願いについて語り、青年ネットワークグループスタッフ、青年教務員ら約50人が参加した。内容を紹介する。

いかなる時も希望失わず愛をもって

パキスタン・アフガニスタン事業統括 アズマット・アリ

パキスタンでは、洪水で3300万人が被災しました。家屋や畑、家畜が流され、冠水で「島」のようになった村々で、家畜飼料をはじめとした物資の配布と被害状況の調査を行う中、住民たちはわずかな所持金と家財道具を持ち、ボートなどで避難していました。食料や水が不足し、一日の食事回数も極端に少ないなど、厳しい状況下で暮らしています。

パンジャブ州で出会ったある女性は、夫が病気で入院中に被害に遭い、家も食料も流されながら、「大丈夫。水が引いたら畑を作り、農作物を育てて生活を再建します」と力強く言いました。シンド州の村人の男性は毎日、水に浸かってポリタンクを持ち、家から1.5キロ離れた場所まで水を汲(く)みに行きます。気候変動が原因のこの災害の厳しさを感じる一方で、前向きに家族のために水を運ぶ男性の姿に胸を打たれました。

こうした経験から、どんな状況でも希望さえ失わなければ、愛をもって家族のために、人々のために進んでいけると学びました。彼らの希望は私の希望になり、私の次の支援活動に向けた非常に大きなモチベーションになっているのです。

希望の光を届ける支援をこれからも

ジャララバード事務所長 ハミドゥラ・ハミッド

アフガニスタンの人々は今、2021年8月に政権を掌握した「タリバン」による統治下で大地震をも経験し、支援に頼らざるを得ない状況に置かれています。

政変による国内の混乱で貧困や食料危機が深刻化するナンガルハル州では、特に支援を必要とする1200世帯に対して2カ月分の食料を配布することができました。女性の世帯主や障がい者がいる家庭にとって、私たちのサポートは大きな希望の光になりました。地震時、家や生活の糧を失った被災者には、食料や衛生用品を購入するための現金を支給しました。その後のモニタリングで、食料を購入して子供たちに食べさせたり、薬を買ったり、地震前からの借金を返せたという話もありました。

また、私たちは、子供たちにゆめポッケを配付する活動も行っています。ゆめポッケを受け取ったある女の子が、袋から取り出した人形に、大喜びして何回もキスをしている様子を見てうれしい気持ちになりました。そんな光景に何度も出会ううちに、「親子で取り組むゆめポッケ」が、紛争や災害によって困難な状況にある子供たちを励ますだけでなく、学校で勉強して、自分も誰かの助けになりたいという思いを起こさせてくれる力があると分かりました。

私自身、幼少時にパキスタンのペシャワールのキャンプで難民として暮らし、支援の有り難さを肌身で感じてきました。人道支援の原則である中立性、独立性、公平性、人道性を大切にして、今後も社会の不平等をなくす支援に従事していく所存です。

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