WCRP国際委・同日本委「『戦争を超え、和解へ』諸宗教平和円卓会議」第1回東京平和円卓会議の開会式、閉会式から

世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)国際委員会と同日本委員会による「『戦争を超え、和解へ』諸宗教平和円卓会議」の第1回東京平和円卓会議が9月21日から23日まで、東京都内で開催された。開会式では同日本委会長を務める庭野日鑛会長が歓迎挨拶を述べ、閉会式では同国際共同議長の庭野光祥次代会長がスピーチした。それぞれの要旨を紹介する。(文責在編集部)

庭野日鑛会長挨拶 苦悩を分ち合い、調和に導く一筋の光を灯し

「諸宗教平和円卓会議」に参加されている代表者の中には、今まさに争いが起きている地域から、さまざまな困難を乗り越え、来日された方もおられます。その勇気、平和を願う尊い精神に、深く敬意を表します。

このたびの会議は、今年七月、RfP国際委員会によって開かれた会合で、開催が決定しました。世界各地で横行する暴力を抑止し、和解を促進して、戦争や紛争の被害を受けた地域の再生を目指す取り組みの一環であります。

昨今の危機的な世界情勢を踏まえ、やむにやまれぬ思いから開催されたのがこの円卓会議と申せましょう。

今回の会議には、主に三つの目的があると伺っております。第一は、紛争地などでの諸宗教の指導者の具体的な役割を明らかにすること。第二は、和解に向けたアプローチのあり方を明らかにすること。第三は、これまでの諸活動の教訓を抽出することです。

言い換えれば、混迷する世界の中で、諸宗教者の真価を発揮する具体的な道筋を明確にするということでありましょう。

三年前の八月、ドイツ・リンダウにおいて、ドイツ政府の支援を受け、第十回世界大会が開催されました。その際、採択された宣言文の前文で、次のように謳(うた)っております。

「我々は連帯して宗教の違いを尊重し、人々が求めてやまない平和のために奉仕する。我々は希望を分かちあい、すべての人間が公共の利益を守る責務を分かちあい、他者を慈しみ、地球を大切にし、そしてつながりあうすべてのいのちを愛することを、聖なる存在から求められていることを共に確信し、ここに結集した」と。

この一節に、私どものあるべき姿勢が示されているのではないかと思います。

仏教の中心をなす教えの一つに「縁起」があります。

「縁起」とは、「この世の一切の現象は、さまざまな原因や条件が関係し合って成立している」ということであります。つまり、地球上のすべてのものごとは、常に関連し合い、依存し合っているということです。

その真実を深く見つめますと、単なる「個人のいのち」という捉え方を超えて、結局は、すべてが一つになってまいります。それは、自他一体ということであり、すべてが兄弟姉妹であるという自覚です。

だからこそ、すべてのいのちは等しく尊いのであり、他者の喜びは、わが喜びであり、他者の悲しみは、わが悲しみであります。その一体感から生じる人間としてのごく自然な心情が、慈悲であり、愛にほかなりません。
諸宗教者によるさまざまな活動は、すべて、そこが原点であると信じております。

諸宗教間の対話・協力による平和への歩みは、いまや国際社会の安定を築く上で、最も現実的かつ重要なテーマの一つとなっています。

私も一人の宗教者として、現実の苦悩を分かち合い、問題の本質を見つめながら、世界を調和に導く一筋の光を灯(とも)していけるよう、皆さまと手を携えて前進してまいりたいと思います。

世界各国から参集された各界を代表する方々の叡智(えいち)によって、「諸宗教平和円卓会議」が実りあるものとなることを期待し、開会の挨拶と致します。

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