今、できることを――コロナ禍における教会のチャレンジ(3)最終回
「RK大分教会ラジオ」動画を配信
メッセージ送信に関わる作業は、教会教務員のAさん(51)とIさん(61)が担うことになった。同アカウントでは1回のメッセージで記せる文字数は500文字以内で、投稿は連続3回までと決まっている。担当責任者のAさんは、「500文字は、スマートフォンで見ると長文に感じてしまうので、気軽に読んでもらうにはどうしたらよいかを何度も話し合いました」と語る。二人がSNSで私用以外の情報を多数の人に発信するのは初めて。担当者たちは試行錯誤しながらも、サンガの交流を途切れさせないために、本園教会長が発案したコンテンツを投稿するための準備作業のほか、投稿に添える写真や式典の動画の撮影、導入のあいさつ文の作成などに取り組んでいった。
会員に向けて最初に送信したのは、宿直休止の連絡とコロナ禍のお役立ち情報など。その後、「布薩(ふさつ)の日」に教会長のメッセージを発信するようになり、一昨年3月下旬からは、「RK大分教会ラジオ」の名称で毎月の「佼成」の会長法話を、教会長がかみしめた内容の動画を配信した。それ以降、徐々にコンテンツを拡充。コロナ禍の生活における会員の気づき、体験した功徳を分かち合う「気づきの発表」、少年部制作の幼少年向け動画「リトルブッダクラブ」などを配信して交流を図るとともに、大聖堂で行われる式典のライブ配信のお知らせなどの情報を素早く伝えていった。
「編集や文章の作成は難しく、何度もめげそうになりましたが、環境が変化する中でこういうお役を頂いたことは、今という時に合わせて対応し、成長するタイミングだと思い、取り組ませて頂きました」とIさん。特に、導入のあいさつ文に毎回変化をつけるのには苦慮し、Aさんと一日に何十回も連絡を取り合って、完成させたこともあったという。
後に担当者は4人になり、昨夏から発信力向上のため文章作成の勉強会も始めた。担当者同士の支え合いと、サンガからの「楽しみにしてるよ」「見たで」といった反響が活動の原動力だ。
「気づきの発表」日常の功徳届ける
配信してきたコンテンツの中で、「気づきの発表」が特に人気が高い。会員たちが日常生活で見つけた功徳が文章につづられ、配信される。各支部でローテーションが組まれ、すでに100人以上が登場した。その内容は、コロナ禍の思い通りにいかない生活の中で気づいた「当たり前だった日常」の有り難さ、家族への感謝、会員と心を通わせて感じた悦(よろこ)び、孫が誕生した際の感動、入会したばかりの会員の思い、病気からの回復のお礼などさまざまだ。それぞれの最も伝えたいことが思い思いにつづられており、発表者からも、読んだ会員からも、生活や信仰の励みになるとの声が聞かれる。発表者の元に、会員たちから感想やエールの電話、メールが届くなど、支部を超えた交流も広がっているという。
会員に対して、公式アカウントの利用方法を丁寧に伝えてきたN支部長(72)は、「コロナ禍で不安になったり、気持ちが落ち込んだりしても、教会から動画やメッセージが届くので、支部の皆さんは、それを見て心を整えられると、とても喜んでいます。私たちにとって、すでに生活の一部です」と話す。
日中は仕事をしている会員たちも、「RK大分教会ラジオ」で会長法話のかみしめを繰り返し視聴できることを喜ぶ。心に残った部分を書き留めて電話やLINEで会員たちと分かち合える機会が増えたと、仕事をしている主任たちにも好評だ。
震度5強を記録した1月22日の地震の際も、このネットワークを利用して情報の収集や発信を行うことができた。
「教会の情報が早く確実に届くことを喜んでもらっていると思います」と本園教会長。登録者数は口コミで増え、昨夏に360人、現在は560人を超えた。どんな時もみんなで精進を――変化に応じた取り組みはこれからも続く。