東日本大震災から10年 本会一食平和基金と連携し福島を支援したNPO法人「福伝」の代表に聞く

原発事故の傷痕、今もなお 日本全体で問い続け解決を

竹内:今年、世間では「10年の節目」と言われていますが、私は、原発事故が福島という土地や人々に与えたダメージは、そう簡単に回復できるものではないと痛感しています。事故当初に比べると、確かに放射能の知識や生活に必要な知恵を身につけ、落ち着きを取り戻してはいます。しかし、人が立ち入れないほど汚染された区域が残ったのは事実です。先祖の代から暮らしてきた大事な故郷を奪われた人たちは今も、先の見えない不安の中にいます。復興とは何か――この大きな課題を福島の方だけでなく、日本全体で問い続け、解決していかなければならないと思うのです。
 
藤岡:先日、ある市民団体の方と話したのですが、その方は「まだ何も始まっていないし、何も終わっていない」と言い切られました。
 
竹内:私と藤岡は今年で福伝としての活動を終了します。支援の第一線からは退きますが、これからは若い人たちの活躍に期待しています。インターネットを駆使して国内外の人とコミュニケーションが取れる彼らは、コロナ禍でつかんだノウハウを生かして市民団体同士のネットワークの構築や情報発信を行っています。今後は、私たちが培った活動の経験や人脈を提供することで、彼らの熱意をサポートしていきたいと思っています。