一食ユニセフ募金の浄財がリベリアで 女性や子どもの笑顔があふれる社会に

縫製を学ぶ少女。髪結いや石けん作りを含めた職業訓練は、10代の母親たちに自立の道を拓き、自信と希望をもたらす

35人のスタッフが在籍するWoFのボン支部では、就職先の紹介や商売を始める人への融資など、卒業後のサポートにも力を入れる。運営資金の確保は厳しく、スタッフが自家農園で育てた野菜や鶏を売って補てんしている。募金を行い、少女らの子どもが病気になった際などに必要な緊急時の貸し付けなども行っている。

2017年に髪結いの訓練を受け卒業したベンドゥ・ウォールさん(19)は現在、美容室で働く。「支援がなければ、私はまだ売春をするために道端に立っていたでしょう」と振り返る。彼女は10代前半で進学のために叔父を頼り、地方から都市部に出てきたが、叔父がエボラ出血熱で亡くなり、14歳から売春をするようになった。間もなく妊娠した。

夜に路上に出る生活を続けていたある日、ボン支部代表のアガタ・コリーさん(34)と出会い、何度も説得されて訓練所に通うようになった。現在は4歳の娘と二人暮らし。生活は楽ではないが、手に職をつけ、生きていけるようになったと誇らしげだ。

「自分の店を持つことが今の目標。私は幸運です。将来に光があるからです」。過去の自分と同じ道をたどってほしくない――彼女はそう思い、路上に立つ少女に声を掛けて自らの経験を語り、職業訓練を受けるよう働き掛けている。

WoFボン事務所のスタッフや少女たち

これまで親や保護者に頼ることができず、自力で生きることを強いられてきた少女たちにとって、親身になって寄り添ってくれるスタッフは、“お姉さん”や“お母さん”、“おばあちゃん”のような存在だという。スタッフの中には、住む場所がない少女を自宅に住まわせる、また、養子縁組をする人もおり、実際、彼女たちを家族のように思い、支えてきた。

3郡の訓練所では、これまでに計250人の少女が卒業した。卒業生が自立に向かう一方で、訓練の途中でやめてしまう少女もいる。訓練期間中は収入を得られずに、生活が立ち行かなくなるからだ。また、訓練所ではミシンなどの道具や材料の不足といった問題もある。こうした課題を解決し、一人でも多くの少女が希望を持てるよう、女性たちによる草の根の平和活動が続けられている。

コリーさんは、「卒業した少女たちがそれぞれ自立し、活躍している姿を見られることが何よりの喜び。とても勇気づけられます。神と自分を信じ、最後までやり遂げたい」と語る。

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