一食ユニセフ募金の浄財がリベリアで 女性や子どもの笑顔があふれる社会に

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一行が最初に訪れたのは、モンセラード郡バンジョ地区にある職業訓練所だ。雨期にさしかかる4月下旬、気温は30度を超え、湿度も高い。ブロック塀を積んだ簡素な壁に囲まれた薄暗い建物の中で、15人ほどの少女たちが額に汗をにじませながら、“髪結い”の練習をしていた。毛束を何本もの細い三つ編みにしていくブレイズヘアは、アフリカでは女性の一般的な髪型で、技能を習得すれば近所の女性たちの髪を結って、一日に300~500リベリアドル(約1.5~2.6米ドル)ほどの収入を得ることができる。

ここには、髪結いのほか、洗濯用の石けん作りや縫製、菓子作りのコースがあり、訓練に励むのは、いずれも10代のシングルマザーたちだ。

訓練生のクリス・ピアチューさん(17)は、生後6カ月の息子を育てながら通っている。「妊娠して学校を中退し、不安を抱えながらどうしようもない気持ちで家にいた時、誘われました。収入を得られるようになったら息子のために使いたい」。

現在リベリアでは、10代の少女の妊娠が大きな問題となっている。15歳から19歳の少女の妊娠・出産率は31%に上る。望まない妊娠の場合、相手の男性は子どもを認知せず、少女たちは学校を中退してシングルマザーとならざるを得ない。その上、家族からも見放され、地域や社会から差別や偏見を受けることも少なくない。中には生きるために10代前半から売春をして暮らす少女もいる。彼女たちが一度に手にする値段は、1~3米ドルだという。これは、1リットルの水を買うのと変わらない値段だ。

そうした困難な状況にある少女たちを救いたいとの思いで、キリスト教やイスラームなどさまざまな信仰を持つ主婦たちが2010年にWoFを設立し、職業訓練所の運営に乗り出した。少女たちは半年の訓練期間に技能を習得し、自立を目指す。中には、訓練を受けながら学校に復学する少女もいる。

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