紛争によって傷ついた世界の友達へ 祈りと真心おくり続けて 20年目迎えた「ゆめポッケ」
立正佼成会の「親子で取り組むゆめポッケ」は、紛争や迫害によって傷ついた子供たちへ、布製の袋(ゆめポッケ)に文房具やおもちゃを詰め、平和への祈りを込めたメッセージカードを添えておくる活動だ。現在、アフガニスタン、レバノン、パレスチナ・ガザ地区、フィリピン・ミンダナオ島の子供たちに届けられている。今年で20年目を迎えた同活動によって届けられたゆめポッケの総数は、約79万個(以前参画していた「愛のポシェット運動」の分も含めると約108万6000個)。これまでに取り組んだ会員の声やゆめポッケを受け取った現地の人々の声を紹介する。また、この活動の推進に携わった根本昌廣・本会時務部主席の談話を通し、経緯と意義を振り返る。
会員の声 「ゆめポッケ」で学んだこと
見つけた「目標」(富山教会の女性、19歳)
一歩踏み出すことの大切さを、中学3年生の時、「親子ボランティア隊」で訪れたアゼルバイジャンの子供たちに教えられました。隣国との民族紛争で故郷を追われ、友達とも離れ離れになった子供たちです。
「僕は警察官になるんだ」。10歳くらいの男の子が語ってくれました。家族を守るためだとも説明してくれました。〈こんな小さな子でさえ前を向いて生きている。私もこのままじゃいけない〉。学校が嫌いで勉強から逃げていた私を変えてくれた一言でした。
前向きに生きられる生徒を一人でも多く育てたい――今は高校教師を目指し、大学に通っています。勉強嫌いだった私に教師になる目標を与えてくれたのが「ゆめポッケ」でした。
助け合う尊さを(葛飾教会の女性、54歳)
小学6年生の長男と「親子ボランティア隊」でミンダナオ島を訪れたのは9年前の春です。支援団体の寮で暮らす小中学生60人と触れ合いました。紛争で親を失った子供たちです。笑顔で私たちを迎え入れ、子供たちは折り紙や縄跳びをしてすぐに打ち解けました。初めての海外渡航で戸惑う日本の子にも気を使ってくれました。
ミンダナオの子供たちの心の豊かさに触れ、仲間と助け合いながら生きる尊さを学びました。最終日、両国の子供が肩を抱き合って号泣していた場面は忘れられません。
これまで2度ほど、Tシャツや文房具などを業務用段ボールに詰め込み船便で送りました。お礼のはがきには、うれしそうな子供たちの写真も添えられていました。困難な状況でもくじけない、島の子供たちをこれからも応援したいと思います。