国連100万ドル基金の調印式 川端理事長と中満代表がスピーチ 核廃絶署名に携わった会員の声

2006年、ネパールで政治的解決がなされ、内戦が終結しました。しかし、人々の間に以前からある不信感や緊迫感は消えることはなく、若者の間では、それらが暴力や差別といった姿に形を変え、教育現場に問題を生じさせました。私たちには、彼らに寛容さと互いを尊重する重要性を伝え、平和の文化を根付かせることが求められたのです。国連アジア太平洋平和軍縮センター(UNRCPD)はネパール教育省と協力し、紛争の防止に向けた取り組みを行うとともに、非暴力の価値、暴力に頼らない解決の重要性を伝えるために、平和と軍縮教育に関するプロジェクトを実施しました。プロジェクトには、2万5000人を超える教師と、約40万人の学生が参加しました。その後、ネパール国内の暴力は減少しました。

ラテンアメリカのカリブにある国連平和・武装解除・開発のための地域センター(UNLIREC)は、国連ボランティア計画(UNV)と協力して、コロンビア、ホンジュラス、ペルー、トリニダードトバゴの4カ国において、「2030年までに、不正な金融と武器の流通を大幅に減少させ、盗難された資産の回復および返還を強化し、あらゆる形態の組織犯罪を根絶する」(SDG目標16・4)の実現に向け、プロジェクトを進めています。

また、中南米地域では、平和、安全保障を構築するため、市民が参画できる対話の場を設けています。ここでは、安全保障、軍縮、国連が掲げる平和の課題について基本的な知識を身につけることができ、250人を超える若者が学びました。これも、「SDG目標16・4」を実現させる一環と位置付けています。

さらに、国連アフリカ平和軍縮地域センター(UNREC)は、フランコフォニー国際機関と協力し、フランス語圏の国々が、平和、安全保障、軍縮などの課題への対応力を身につけるため、アフリカ各国の外交官や専門家を対象とした軍縮に取り組むためのフランス語の手引書(ガイド)を開発しました。

軍縮部のウィーン事務所は、国連の諸機関やNGOなど30団体と協力して、「軍縮・不拡散(DNP)教育」プロジェクトを実施しました。ウィーン事務所はドイツ政府の支援を受け、軍縮、軍備の管理、核不拡散のためのオンライン教育教材を開発しました。現在までに150を超える教育の手法が開発されています。加えて、ウィーン事務所では、南半球の開発途上国に暮らす女性の参画を促すことに焦点を当てたプロジェクトを開始しました。これは、政策決定の段階を含め、軍縮と不拡散を進める上での、公正な女性の参画を目的としています。

私は、教育には変革をもたらす役割があると信じています。ですから、私たちには、インターネットやソーシャルメディアなど、あらゆる手段を通じて若者たちとつながることが必要です。

若者によって運営されている国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)が、核軍縮という国際的な政策課題にいかに影響を与えたかを目の当たりにしました。私たちが力を合わせ、知識と教育によって若者たちを力づけることができるなら、若者は世界を変えることができるのです。

35年間にわたる立正佼成会の会員の皆さまとの協力と支援に対して、重ねて感謝の意を表します。
(文責在編集部)

スピーチ全文・国連軍縮部(UNODA)ウェブサイトから※英語
https://s3.amazonaws.com/unoda-web/wp-content/uploads/2017/10/HR-Remarks_Side-Event-on-Disarmament-and-Non-proliferation-Education.pdf

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