回想録

月の光に包まれていると、なぜか自分が素直でいられるような気がしてくる。郷愁をも誘うのだろうか。あの日、故郷の四万十川流域の小さな集落は、淡い月の光の中で夢のようにゆらゆら揺れていた。辺りは静まり返り、清流の心地よい音色の中で、私はいつしか懐かしい歌のワンフレーズを口ずさんでいた。