ユニセフのグアテマラ事務所副代表による報告会 一食ユニセフ募金の浄財が乳幼児と母親支援に

ユニセフ・グアテマラ事務所の篭嶋真理子副代表による現地報告会が6月20日、東京・港区のユニセフハウスで行われた。

同国では、5歳未満の子どもの半数が慢性的な栄養不良状態にある。立正佼成会は2014年から、各教会が街頭募金などで募った「一食(いちじき)ユニセフ募金」の浄財を、同国の乳幼児や妊婦の栄養改善事業に拠出し、国連児童基金(ユニセフ)と協働で事業を進めている。

『グアテマラ:“はじめ”が肝心――乳幼児期の発達を支える』をテーマに講演した篭嶋副代表は、世界的医学雑誌『ランセット』に昨秋掲載された乳幼児期のケアに関する論文の内容を受けて、ユニセフが今年から幼児期の発達に関連するキャンペーンを始めたことを紹介。健全な発達には安全なおもちゃを与えるほか、子どもが安心した気持ちで生活できる環境を整えるため、良好な家族関係を築くことが大切と強調した。

特に、子どもが幼少期には、親の言葉掛けなどの適切な刺激が子どもの発達を促し、潜在能力を引き出すと語った。

その上で、社会問題となっている子どもの慢性的な栄養不良と、大人から子どもへの暴力について言及。こうした状況を改善するためにユニセフでは、「コミュニティ乳幼児センター」で、妊娠初期の女性から6歳未満の子を持つ親を対象に、触れ合い方を伝えるセミナーを実施していると報告した。

さらに篭嶋氏は、「慢性栄養不良の改善のための栄養支援も行っていますが、現地視察を通して、情緒的な触れ合いを伝えていくことも大切だと分かりました。センターのスタッフは現地の人たちです。親が子どもを抱きしめ、歌を一緒に歌うといった活動を進め、子どもたちの成長を支援しています」と話した。

一食ユニセフ募金

「一食を捧げる運動」の精神を一人でも多くの市民に理解してもらうため、世界の人々の平和、幸せを願って行動する仲間を増やしていきたいとの願いをもとに行われている。ユニセフと本会のパートナーシップ事業は、紛争や貧困に苦しむ子どもたちを守るため国際児童年にあたる1979年からスタートした。これまでに街頭募金やチャリティーバザーなどさまざまな活動の中で市民から寄せられた浄財が支援に充てられてきた。現在は、リベリア、シエラレオネ、グアテマラの3カ国で、母親や子どもたちのこころとからだに栄養を注ぐプロジェクトが展開されている。