発祥の地・修養道場で 写経会

猛暑の7月26日、発祥の地・修養道場(東京都杉並区)は静寂に包まれた。常とは違い、集うのは地域住民ら約20人。黙々と筆を運び取り組んでいるのは写経だ。書家で「毎日書道展」審査会員の舘入越堂・芳澍女学院情報国際専門学校非常勤講師の「写経は字の仏をつくる行です」という説明に続き、「般若心経」「宝塔偈」「如来神力品」「延命十句観音経」から一つを選び、一字一字に心を込めて、丁寧に揮毫(きごう)していく。参加した男性は、「筆ペンと違い、毛筆は難しいですね。でも、勉強になりました」と語った。

写経会にあたり千葉和男道場長は「修養道場は、開祖さまが設計された日本庭園の中に、当時の幹部さん方が思いを込めて建てられた純和風建築です。会員・未会員の別なく来て頂き、どなたでも受け入れる佼成会の優しさ、温かさ、明るさを感じ取ってもらいたいと思いました。まずは地域の方々に気楽に来て頂くきっかけにと、今年4月から写経会を始めました」と話す。

先月は小学1年生の女児が両親と共に参加した。「子どもさんが飽きてしまうのでは」とスタッフは心配したが、女児は次々と作品を書き上げた。舘入講師がお手本として「佼成少年少女のちかい」を書くと、それも書写した。両親に話を聞くと、「この子が写経をしたいというので、私たちも参加したんです。娘のために新たにお手本まで書いて頂き感動しました。娘のおかげで私たちも写経ができました」と語った。

デートで写経に来たというカップル、反発ばかりしていた母親が亡くなり30年経った今、初めて「お詫(わ)びと感謝の気持ち」で写経した人など、写経会は地域に緩やかな広がりを見せている。

写経会は、地域に向けて毎月第4土曜日(8、12月を除く)に開催される。