「教会への砲撃は人間の責任ではない/イスラエル」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

広島と長崎――人類の記憶のシンボル、被爆者への尊敬と情愛/教皇レオ14世

ローマ教皇レオ14世は8月5日、バチカン記者室を通して、広島と長崎への原爆投下から80年に向けてのメッセージを公表した。

教皇は、同メッセージの中で、まず「被爆者たちへの尊敬と情愛」を表明し、「彼らの死と苦の証しは、より安全な世界の構築と、平和へ向けての環境を滋養してゆくようにとの、われわれに対する時宜を得た総括(アピール)である」と位置付けた。長い歳月が流れても、核兵器によってもたらされた深い恐怖を示し続ける両都市があるからこそ、レオ14世は、フランシスコ前教皇が繰り返し示した「戦争は人類の敗北です」との言葉や、長崎で被爆したカトリック信徒で医学博士の永井隆氏が遺(のこ)した「愛する人は、勇気のある人であり、武器を持たない」との言葉を引用し、「確かに、平和は、勇気ある武器の放棄を要求し、特に、筆舌に尽くしがたい大災害を引き起こす能力を持つ武器に関して、そうである」と主張している。

「核兵器は、われわれの分かち合われた人間性を侮辱し、われわれが調和のうちに保全するようにと命じられている、創造(自然)の尊厳性をも裏切る」と教皇は言う。世界各地で緊張や紛争が頻発する状況にあって、「広島と長崎は、(人類の)記憶のシンボル」として立つとの確信を表明する教皇は、「相互破壊を基盤とする安全保障という幻覚を拒否するように」と訴え、核抑止論を非難した。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)