「庭野平和賞奨励賞」第3回受賞者決まる

法輪閣で贈呈式が行われ、来日したモレーノ氏が出席した
公益財団法人庭野平和財団(庭野日鑛名誉会長、庭野浩士理事長)はこのほど、「庭野平和賞奨励賞」の第3回受賞者をウェブサイトで発表した。受賞したのは、コロンビアのエリサベット・モレーノ・バルコ氏と、タイのムスリム弁護士センター(MAC)で、共に人権擁護活動を行う個人と団体だ。
モレーノ氏の生まれたコロンビア・チョコ県は、現在も複数の武装組織が活動する紛争地帯。武力衝突が続く同県で地域のリーダーを担うとともに、72のアフロ系コロンビア人コミュニティーで構成される「サン・フアン・コミュニティ総評議会」を率いてきた。2023年からは、市民主体のより大きな連合組織「チョコ連帯民族間フォーラム」のコーディネーターとして、武装組織による銃撃戦に巻き込まれた市民(国内避難民)を支援する人道活動を主導。政府や武装組織との交渉にも携わり、和平合意を進め、市民の人権を保護するよう訴えている。
一方、04年に設立されたMACは、マレーシアとの国境に近いタイ深南部の3県(パタニー県、ヤラー県、ナラティワート県) で、国家から不当な扱いを受けるイスラーム教徒(ムスリム)を対象に人権擁護活動を行う弁護士組織。非暴力による宗教間対話を促進することで、ムスリムだけでなくこれらの地域に暮らす人々の宗教的・文化的自尊心を高めることにも力を注いでいる。
4月12日、法輪閣で行われた贈呈式には、コロンビアからモレーノ氏が来日して出席し、庭野理事長から正賞の賞状と副賞の賞金200万円が手渡された。大ホールの千手観音像を背にあいさつに立ったモレーノ氏は、今回の受賞を通して「智慧(ちえ)と愛と勇気をもってこの仕事を続けていく思いが一層強くなりました。世界中で平和を築いていける力になれるよう私も祈ります」と語った。
なお、同20日にはタイ深南部ヤラー県で、MACへの贈呈が行われた。