能登半島地震から1年 新宗連のボランティア隊が被災地で活動

がれきの撤去や家具の運び出し作業を行う新宗連のボランティア隊(新宗連提供)

元日の午後4時10分、立正佼成会金沢教会の会員は、各家のご宝前で「令和六年能登半島地震犠牲者慰霊・復興祈願供養」式文を読み上げて祈りを捧げた。

同教会は地震発生直後から、支部長を中心に全会員の安否確認を実施。その後は被災会員のニーズを聞き取り、派遣された本部スタッフと共に、物資の配布やがれきの撤去などの支援活動を続けてきた。この一年、日夜いとまなく、被災者に寄り添って不安に耳を傾けてきた会員が正月をゆっくりと過ごせるよう、元日は教会に参集せず、各家で祈りを捧げた。

7日、同教会の「御親教」式典であいさつに立った向當亜希子教会長(北陸支教区長)は、「(地震から)もう一年。でも、まだ一年。あの日、怖い思いをした人たちの心に寄り添い続け、いつか『そんなこともあったね』と言える日を迎えられたら」と語りかけた。その上で、誰一人寂しい思いをしないよう、今年も出会いやつながりを大切に、目の前の相手と触れ合っていくことを誓願した。

一方、被災地では、新日本宗教団体連合会(新宗連)が被災地NGO恊働センターと連携し、昨年4月から支援活動に取り組んでいる。新宗連加盟教団の会員信徒が全国から集い、ボランティア隊を組織。地元ボランティアセンターのニーズに沿って、支援物資の仕分け、崩れた土壁の撤去や運搬、住宅からの家財の運び出しや応急仮設住宅への個別訪問などを行っている。昨年9月の「奥能登豪雨」以降は、泥かき作業にも従事している。被災地での受け入れには本会高岡教会も協力した。

昨年10回にわたり派遣されたボランティア隊には、本会から39教会の会員が参加した。新宗連のボランティア隊として6回被災地に赴いた中津川教会の壮年部員(70)は、震災を機に廃業を決めた工場経営者との出会いが印象的だったと振り返る。「工場内を一緒に片付けながら、残された機械や材料にまつわる思い出に耳を傾けました。沈痛な表情をしていた彼が、時折、笑みを浮かべて思い出を語る姿を見て、『聴く』ことは、作業と同じくらい大切なことだと実感しました。同時に、廃棄せざるを得ない物、離れなければならない場所でも、一人ひとりの人生や記憶、大切な思いが詰まっていると気づき、その思いを汲み、心を込めて作業をしようと思いました」。

新宗連は現地のニーズを見極め、今後も被災地の支援にあたる意向だ。