スリランカ教会新道場入仏・落慶式 現地会員の布教伝道への思い実る

式典では読経供養が行われ、光祥次代会長が庭野会長名の啓白文を奏上した

立正佼成会スリランカ教会の新道場が西部州ガンパハ県ワッタラ市フヌピティヤ地区に建設され、6月4日、庭野日鑛会長の名代として庭野光祥次代会長を迎えて入仏・落慶式が挙行された。式典には、宗教者や識者の来賓、会員ら375人が参集した。

スリランカに本会の教えが伝わったのは25年前。民族対立による内戦のさなか、同国を離れ日本に滞在していた一人の男性(64)が大和教会の会員に導かれたことに始まる。

男性は、生活に生かす実践的な仏教に感銘を受け、帰国後に布教伝道に取り組み始めた。1998年には連絡所が正式な拠点として承認され、2005年の南アジア教会発足と同時に支部に昇格した後、10年3月にスリランカ教会が発足した。13年に法人格を取得。現在、会員宅を布教伝道の拠点とする「家庭拠点」は64を数え、2072世帯の会員を有する。

国民の7割以上が上座部仏教を信仰する同国では、僧侶への奉仕を通して徳を積むことが習慣になっている。同教会では、この伝統を重んじ、満月を寺院で祝う国民の休日「ポヤ・デー」に式典を厳修。僧侶の説法を聞く機会などを設けている。

このほか、社会活動の一環として、子育て世代に向け家庭教育講演会を実施。講演会は各地の教育機関と連携しながら10年以上継続され、法華経を基盤とした家庭教育が普及している。

来賓として、スリランカ教会と親交のある上座部仏教僧侶が臨席した

4日の入仏・落慶式では、上座部仏教の僧侶が参集者と共にパーリ語の経を読誦(どくじゅ)する中、光祥次代会長により「御本尊除幕の儀」が行われた。読経供養では、導師をつとめた光祥次代会長が庭野会長名の「啓白文」を奏上した。

同教会の理事長で、建設委員長の男性(57)が新道場の建設経過を報告。次いで、家庭拠点長の女性会員(62)が体験説法に立った。かつて自然災害によって自宅を失い、夫を病で亡くしたその会員は、教えに出遇(であ)い、過去の苦しい体験や試練が今、周囲の人を教えに導くための慈悲と智慧(ちえ)の源になっていると語った。

また、「真理と自分とは一つ」であることを自覚し、家庭拠点長として教えを伝えて「人さまを正しい道に導くことを心がけてきた」と語り、今後も菩薩行の実践に努めていくことを誓願した。

この後、菅沼健一・駐スリランカ日本大使が祝辞を述べた。

全ての物事を縁にして幸せになる

続いて、講話に立った光祥次代会長は、庭野日敬開祖が揮毫(きごう)し、大聖堂の本尊像に納められている体内経の「法華寫経結願文(ほっけしゃきょうけちがんもん)」の内容を挙げ、一人ひとりが自分にふさわしい精進と思いやりのある行いを重ねれば仏の世界につながると、その意味を解説した。その上で、法華経は、「信仰をして苦がなくなるというのではなく、実は苦の中にいるからこそ、見えてくる真理がある、苦をきっかけにして幸せになるという教えです」と説示。全ての物事を縁にして幸せになることができ、「気がつくと、自分自身の生き方が変わっているのです」と述べた。

ワッタラ市フヌピティヤ地区に建設されたスリランカ教会の新道場

さらに、本尊像の印相「与願施無畏印(よがんせむいいん)」を説明し、本尊が蓮の台座の上に乗る姿に触れ、泥水に咲きながらも泥に染まらずに美しい花を咲かせる蓮は、「在家仏教徒の理想」と強調。「どこか現実と離れた理想の場所を追い求めるのでなく、私たちの悩みや矛盾に満ちた毎日の生活の場所こそが仏道修行の場所です」と語り掛けた。

新道場は、鉄筋コンクリート平屋建てで、敷地面積1016平方メートル。延べ床面積451平方メートル。法座席のほか、事務室、応接室などを備える。

立正佼成会の本尊(教団ウェブサイトより) http://www.kosei-kai.or.jp/020shinko/0205/