クラスター爆弾の製造企業に対する投融資が世界で310億ドル 責任投資や企業の社会的責任が一層問われる時代に

記者会見に臨むCMCのアリザダ氏(左)と、PAXのベネシュ氏(中央)

「非人道兵器」として国際法で禁止されているクラスター爆弾を製造する企業に対し、世界の金融機関が行っている投融資の現状を、国際NGO「PAX」(拠点・オランダ)が5月23日に発表した。この報告書によると、2013年6月から今年3月までの4年間に、166社から310億ドル(3兆4000億円)の投融資が行われ、日本の金融機関も4社含まれていた。同日、東京・千代田区の日本外国特派員協会で調査を進めてきたNGOの関係者が記者会見を開き、現状を報告した。

クラスター爆弾イメージ図

クラスター爆弾は、一つの大きな爆弾の中に、数十から数百個の小さな爆弾(子爆弾)を詰めた兵器。陸上や上空から発射され、空中で子爆弾がサッカー場数面分ほどの広範囲に飛び散る仕組みになっている。殺傷能力が高く、軍人だけでなく、民間人に多くの被害が及ぶ。その90%以上が民間人との報告もある。また、不発弾となる割合が高く、子供が触れて犠牲になるなど、長く戦後復興の「足かせ」にもなる。地雷と並んで「非人道兵器」といわれる理由だ。

2002年、NGOが中心となって「クラスター兵器連合」(CMC)を結成し、製造、使用、保有、移管を禁じる条約の制定に向けた活動を推進。さらにノルウェー政府が主導的な役割を果たして08年に「クラスター爆弾禁止条約」(オスロ条約)が成立した。現在、日本をはじめ101カ国が批准している。

PAXは、同条約を批准していない米国、中国、韓国の主要な製造企業6社に対する、世界の金融機関の投融資を調査。投融資している機関を「不名誉リスト」、投融資を禁止している機関を「名誉リスト」、取り組みは進めているものの不十分な機関を「次点リスト」に分類し、発表した。

今回の報告書で示された、投融資をしている機関は166社。昨年6月の報告書より8社増加した。166社のうち、条約非批准国の金融機関が151社と大部分を占め、国別の機関数では1位米国(85社)で、中国(30)、韓国(27)が続いた。

一方、条約批准国にある金融機関は15社。日本からは4社(三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、オリックス、第一生命保険)が挙げられ、4社の総額は約20億ドル(2200億円)と指摘されている。批准国ではトップ、不名誉リスト全体でも5位だった。

クラスター爆弾の非人道性を訴えるCMCのアリザダ氏

「名誉リスト」の42社は、全て条約批准国の金融機関が占めた。「次点リスト」の46社も全て批准国の機関で、日本の三井住友信託銀行が入った。

発表当日の5月23日、日本外国特派員協会では、CMCのフィロス・アリザダ氏と、調査を担当したPAXのマイッケ・ベネシュ氏による記者会見が行われた。席上、アリザダ氏は、クラスター爆弾が広範囲に散布されることで、多くの民間人が犠牲となり、不発弾によって戦争終結後も被害が後を絶たないクラスター爆弾の非人道性を説明した。

一方、ベネシュ氏は、日本の4社の中にはクラスター爆弾の製造に関する事業への投融資は行わない方針を示している機関があることを認めながらも、融資後の選別は実質的に困難であり、「製造企業への投融資は製造に加担することになる」と指摘した。また、条約批准国のベルギー、イタリア、オランダなど10カ国が、製造企業への投融資を禁止する法律を制定し、批准する28カ国では、政府が条約によって投融資は禁止されているとの声明を発表していると解説。その上で、条約批准国である日本でも、製造企業への投融資を禁止する法整備がなされるよう求めた。

報告書の内容を発表するPAXのベネシュ氏

翌24日、参議院議員会館で院内集会が行われ、2人は国会議員らに対して今回の調査結果を紹介し、投融資を禁じる法律の整備を改めて訴えた。

欧米を中心に、「企業の社会的責任」(CSR)や金融機関の行動規範としての「責任投資」(ESG投資)に対する関心が一層高まっており、日本でも今後、注視されていくとみられている。

なお、PAXの報告書の概要は、NPO法人「地雷廃絶日本キャンペーン」のウェブサイトで閲覧が可能。

地雷廃絶日本キャンペーン
http://www.jcbl.jpn.org/

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