「第9回庭野平和賞」受賞者のアリヤラトネ博士が逝去 庭野会長が哀悼の意

葬儀には、デルゴダ理事長(手前)が参列。多くの市民が訪れ、アリヤラトネ博士の功績をたたえ、弔意を表した

スリランカでの仏教精神に基づく農村開発運動「サルボダヤ・シュラマダナ運動」の創始者で、第9回庭野平和賞の受賞者であるアハンガマジー・チューダー・アリヤラトネ博士が4月16日、逝去した。92歳だった。

訃報を受けた立正佼成会の庭野日鑛会長は、アリヤラトネ博士の家族に宛てて弔文を送付。同20日、葬儀の前に本会スリランカ教会のスワルナ・デルゴダ理事長が同運動のオフィスを訪問し、息子のビンヤ・アリヤラトネ師(同運動会長)に手渡した。

庭野会長の弔文を手渡すデルゴダ理事長

アリヤラトネ博士は1958年、大学で教職を務めていた時に、学生と開発の遅れる村を訪れた。その後、仏教精神に基づいた農村開発運動「サルボダヤ・シュラマダナ運動」を主宰し、スリランカの伝統的価値観である仏教やヒンドゥー教の教えに根ざした生き方を目指して、開発の遅れる村々で、生活支援、保健衛生活動などを展開。また、マハトマ・ガンディーの非暴力の精神を基に、スリランカ国内の諸宗教の理解と協力を得て、スリランカの民族間、宗教間の紛争被害者の支援活動や地域復興に尽力してきた。

長年にわたる平和構築の努力と功績が高く評価され、1992年には第9回庭野平和賞を受賞。以来、数回にわたり庭野会長と懇談し、親交を深めた。本会の活動である「親子で取り組むゆめポッケ」の受け入れと配付にも協力。また、2000年には、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)創設30周年記念シンポジウムのパネリストとして出席した。

弔文の中で庭野会長は、「この尊敬すべき偉大な仏教徒アハンガマジー・チューダー・アリヤラトネ博士が逝去されたことは、スリランカをはじめ世界の仏教徒、宗教者にとって大きな悲しみでございます」と哀悼の意を表明。アリヤラトネ博士の正義と平和への献身に深く敬意を表し、「今後も、アリヤラトネ博士の願いを心に刻み、仏教精神を基とし、諸宗教対話・協力を通して、いのちが大事にされる世界の実現に向け、微力を尽していく決意でございます」と誓願した。