八戸教会 春を告げる伝統行事「八戸えんぶり」の鑑賞会を開催

八戸教会でえんぶりを披露する「小中野えんぶり組」の太夫たち。足を踏み込んで頭を振り回す独特の舞で観客を魅了した

華やかな烏帽子(えぼし)をかぶった太夫(たゆう)が、春の到来を告げるように激しく舞い踊る――。青森・八戸市では毎年2月、豊作を願う祭り「八戸えんぶり」が盛大に行われる。こうした郷土芸能への理解を深めようと、立正佼成会八戸教会は同18日、地元で活動する「小中野えんぶり組」を招き、教会道場で鑑賞会を開催した。

八戸えんぶりは、約800年の歴史を持つ国指定重要無形民俗文化財。太夫と呼ばれる舞手が稲作の様子を勇壮に演じる「摺(す)り」と、子どもたちが愛らしく踊る「祝福芸」から成り立つ。例年、「組」と呼ばれるさまざまな団体が市の中心街や広場で演舞を披露し、県内外から多くの観光客が訪れる。

同教会では昨年から、小中野えんぶり組による演舞が行われている。鑑賞会を発案したのは、同えんぶり組で太夫を務める青年男子部長のOさん(35)。いつも寒空の下で踊る子どもたちのために、暖かい室内でも演舞を楽しめる場をつくろうと考え、橋本剛志教会長やサンガ(教えの仲間)の協力を得て実現させた。

「普段の活動では『礼に始まり礼に終わる』との精神を大事にするとともに、子どもたちの思いを丁寧に聞き、みんなが頑張ろうと思えるような声かけをしています。佼成会での教えが生かされていると感じます」

当日、教会道場には会員や地域住民約130人(オンライン配信の視聴者含む)が参集。厳かに入場したOさんたち太夫は、田植えの風景を表した「摺りはじめ」を行い、足を踏み込んで頭を振り回す独特の舞で観客を魅了した。

数回の摺りの間には、子どもたちがにぎやかなお囃子(はやし)に乗せて、釣り竿(ざお)と扇子で鯛(たい)を釣る「えびす舞」などの祝福芸を披露。最後に、太夫が秋の収穫を祈願する「摺りおさめ」が営まれた。組の代表である親方が「皆さま、Oの摺りはいかがでしたでしょうか」とあいさつすると、法座席は盛大な拍手に包まれた。

最前席で鑑賞した少年部員(8)は、「自分がいるえんぶり組と踊りやセリフが違って面白かった。練習してもっと上手に踊れるようになりたい」と元気に答えた。母親(48)=支部会計=は、「子どもの数が少なくなる中、地域の伝統を絶やさず残していってほしいと思います」と語った。

Oさんは、「踊りでたくさんの方が喜んでくださり、やって良かったと思えました。見る人に感動を与えられるよう、これからも頑張っていきたい」と話した。