「“白旗”を掲げて和平交渉を――教皇がウクライナに進言」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

ローマ教皇フランシスコ(撮影:カーシャ・アルテミアク)

“白旗”を掲げて和平交渉を――教皇がウクライナに進言

ローマ教皇フランシスコは、3月20日に放映予定であるスイスのテレビ局によるインタビューの中で、ウクライナ政府に対して「“白旗”を掲げて和平交渉する勇気を持つように」と促す発言をした。スイスのテレビ局が同9日、インタビュー内容の要旨を公表した。

教皇は、「状況を見て、国民のことを考え、白旗を掲げる勇気を持って交渉に応じる者は、より強い」「自身の敗北を感知し、物事が自分の思うようにいかない時、交渉する勇気を持たなければならない」と進言。「(ウクライナ政府側が)恥と感じるかもしれないが、どれだけの人間が死んだら戦争が終わるのか」と問いかけ、「時を逸する前に交渉を開始できるよう、調停国を探すように」と促した。

さらに、「ウクライナ侵攻の調停には多くの国が名乗り出ており、(ゼレンスキー大統領が訪問したばかりの)トルコも意欲を示している」と指摘した。教皇の示唆するところは、「状況が悪化する前の交渉開始を恥と思わないように」というものだ。

自身が調停役を務めることについて聞かれた教皇は、「私はここにいる」と応え、ウクライナ侵攻の停戦、終焉(しゅうえん)に向けた調停に意欲を示した。そして、「交渉は降伏ではない。国家を自滅に導かないことは勇気ある行為」と述べた。

教皇の「白旗」という言葉の意味について、バチカン報道官のマテオ・ブルーニ氏は、「交渉する勇気によって到達される停戦」を意味すると説明した。