館山教会で「寿デー」 地域の過疎化・高齢化を受け 教会の持ち味生かす

車座になって、交流を楽しむ会員たち

教会の特色を生かしたい――そんな願いのもと、立正佼成会館山教会は昨年2月から毎月、「寿デー」を開催している。毎回、65歳以上の高齢会員が教会道場に集い、折句作りや曼荼羅(まんだら)の塗り絵などを通して交流を深めている。

「歌や手芸など特技を持っている人はたくさんいます。しかしそれを生かす場がなくてはもったいない」。そう語るのは、「寿デー」を運営する実行委員の70代女性3人だ。

千葉県の最南端に位置する同教会の包括地域では、過疎化による少子高齢化が深刻さを増している。若者の進学先や就職先がなく、都市部に行くしか選択肢がないのがその要因の一つだ。

こうした傾向が、今後も加速すると予測される中、館山教会では、少子高齢化を自教会の特長と捉え直し、これまで熱心に教会活動に励んできた高齢会員が生き生きすることで教会を盛り上げたいと、道場健幸行(けんこうぎょう)の一つのプログラムとして「寿デー」を考案した。

参加者の中には96歳の会員もいて、笑顔で雑談したり、お菓子を食べたりする会員の和気あいあいとした雰囲気に包まれている。「とにかく明るく楽しい!」という声が毎回上がるように、「寿デー」は楽しむことが企画のキーワードだ。各回のテーマは、実行委員の3人が参加者に趣味や得意なことを聞き、そこからヒントを得て決める。これまでに、子どもたちと一緒にパンケーキを作る『たのしいお菓子作り』、身近な草花を使用し、皆で花瓶に生ける『野の花で楽しみましょう~』などバラエティー豊かな取り組みを行い、反響を呼んでいる。

これまでの「寿デー」の様子を写真にまとめて貼り出している

また、昨秋には世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会の山越教雄事務次長を招き、ウクライナ情勢に関する平和学習と、ライブ演奏やチャリティーバザーを実施。その収益金をロシアの軍事侵攻を受けて困窮するウクライナの人々や、難病と闘う子どもたちを支援する団体にそれぞれ寄託した。

昨年の最終回となった11月22日には、西岡由哲教会長と高齢会員25人が参加。『地元に伝わる祝い唄』をテーマに、歌が得意な女性会員(89)が懐かしい曲を披露した。司会者にマイクを渡された女性会員は、初めは恥ずかしがる様子を見せたが、いざ歌い出すと別人に。張りのある歌声で「祝い節」「秋田大黒舞」を熱唱すると、参加者から手拍子とともに「フゥー!」と歓声が上がり、会場は笑顔に包まれ、大いに盛り上がった。

最後は、西岡教会長が作詞作曲した「寿デー」のテーマソング『~心つないで~』を合唱。「人はそれぞれ 願いをもって 尊いいのち 輝かせながら生きている 一人じゃないから」のフレーズでは思わず涙を流す参加者もいて、最高の雰囲気でこの日のイベントは締めくくられた。

参加した男性会員(80)は、「開祖さまが佼成会を創立してくださったからこそ皆さんとの縁があるんだとかみしめると、いろんな思いが込み上げてきました」と感動を語った。女性会員(76)はサンガ(教えの仲間)でにぎわう教会を見回し、「皆さんのおかげで教会は活気に溢(あふ)れ、元気をもらいました」と満面の笑みをたたえた。

手探りで始めた「寿デー」だが、今では「さまざまな理由で教会に来られない会員に何ができるか考えていきたい」という声も上がっている。高齢会員にとって大好評な「寿デー」は今年も、サンガによる多彩な企画が予定されている。