グローバル難民フォーラムに杉野学林学長が出席 本会の難民支援策を「宣言」として提出(動画あり)

諸宗教指導者の集いに参加した杉野学長は、日本の宗教教団を代表してスピーチに立った(写真は全て、水藻センター長提供)

難民問題を話し合う国際会議「第2回グローバル難民フォーラム」(主催・国連難民高等弁務官事務所=UNHCR)が昨年12月13日から15日まで、スイス・ジュネーブで開催された。立正佼成会から庭野光祥次代会長の名代として杉野恭一学林学長(元世界宗教者平和会議=WCRP/RfP=国際委員会副事務総長)が出席。同フォーラムのほか、12日に行われたサイドイベント「難民との連帯における気候平和のために一致する諸宗教指導者」に参加し、長期的な難民支援策を記した本会の「宣言(プレッジ)」を発表した。水藻克年ローマセンター長が随行した。

UNHCRによる杉野学長へのインタビュー(クリックして動画再生)

同フォーラムは4年に一度実施され、母国を追われた当事者である難民をはじめ、各国政府、国連機関、民間団体の代表者らが集い、難民の雇用や教育などの受け入れ策を「宣言」として提出し、難民が直面する課題とその解決策を議論することが目的だ。

WCRP/RfP国際委員会とUNHCRは2021年に、紛争予防や和解、平和構築の促進を目指して「諸宗教指導者評議会」を設立。WCRP/RfP国際共同議長の光祥次代会長がメンバーに就任し、昨年1月にはモルドバでウクライナ難民支援を視察するなど、故郷を追われた人々の生命と権利を守る活動に貢献してきた。今回のフォーラムには、同評議会の一員として招待された。

フォーラムに先立つ12日、UNHCR、世界教会協議会(WCC)、WCRP/RfP共催のサイドイベント「難民との連帯における気候平和のために一致する諸宗教指導者」がWCC本部エキュメニカル・センターで行われた。日本の宗教教団を代表して杉野学長がスピーチに立ち、本会の「宣言」を発表した。

杉野学長は、本会の「宣言」の内容に触れ、仏教の智慧と慈悲を生かした難民支援の在り方を紹介した

本会による難民支援の取り組みを発表

杉野学長はスピーチの中で、気候変動による難民の移住が紛争を引き起こし、さらなる難民が発生するという悪循環に対して、諸宗教が連帯して取り組みを進める必要性を強調した。

「宣言」では、本会は法華経の教えに根差し、「一仏乗」の精神による多様性の中で調和を尊ぶことを基盤に行動してきたと説明した。その上で、会員の浄財を難民支援に活用する「一食(いちじき)を捧げる運動」や、日本の子どもたちと難民の子どもたちの連帯を育む「親子で取り組むゆめポッケ」の活動、紛争の根本原因を追究するWCRP/RfPによる「『戦争を超え、和解へ』諸宗教平和円卓会議」第1回東京平和円卓会議への協力などについて紹介した。今後も仏教徒による慈悲の実践、諸宗教間協力、複数のステークホルダー(利害関係者)とのパートナーシップを通じて、「統合的かつ包括的な難民支援」を拡充すると誓った。

14日、フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官と諸宗教指導者によるキャンドル灯火セレモニーが行われた

各代表がそれぞれの「宣言」を発表した後、宗教の違いを超えて難民支援に協力すると定めた共同宣言を採択。この内容は、翌13日から3日間にわたって行われたフォーラムの全体会合でも発表され、宗教者による支援の重要性が共有された。

フォーラムを終えた杉野学長は、「参加する機会を頂けたのは、佼成会の先達たちが難民に寄り添って取り組んできた証しです。現在、難民や避難民は約1億1000万人に上ります。仏教の智慧(ちえ)と慈悲をもって、各界と協力しながら、少しでもお役に立てるよう支援を進めたい」と語った。

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