平和と対話のための聖エジディオ財団のバルトリ理事長が来会 光祥次代会長と懇談
米・ニューヨークに本部を置く「平和と対話のための聖エジディオ財団」のアンドレア・バルトリ理事長が12月8日午前、立正佼成会本部(東京・杉並区)を訪れ、庭野光祥次代会長と面会した。
同財団は、聖エジディオ共同体(カトリック在家運動体=本部・ローマ)を母体とし、2019年に発足。同共同体の平和活動をさまざまな側面から支援するほか、世界各国の学術機関と協力し、平和や宗教に関する研究を進める。平和活動に携わる学生や、外交関係の専門家などをつなぐネットワークづくりにも寄与する。
バルトリ理事長は、国際紛争解決の専門家で、1970年から同共同体のメンバーとして活動している。長年にわたり上級副会長を務め、92年から2018年まで、同共同体の米国および国連代表を担った。
8日、本会を訪れたバルトリ理事長は、大聖堂で行われた「成道会」に参加した後、一乗宝塔に参拝。その後、法輪閣で光祥次代会長と懇談した。
席上、バルトリ理事長は、同財団について「聖エジディオ共同体がどのように平和活動に取り組んでいるのか、平和と他者に対して何ができるのか」ということをより分かりやすく世に示していく組織であると紹介。一方、同共同体は単なる平和活動団体ではなく、本会と同じ宗教団体で、「福音を生き、信仰的共同体を目指す」団体であることを強調し、キリスト教に説かれる「友愛の精神」によって紛争調停など平和活動に参画していることを説明した。
これを受け、光祥次代会長は、庭野日敬開祖が平和活動を始めた際、本会でも信仰と平和にどんな関係があるのかという意見が多く、会員の中で混乱が起きたことがあったと語った上で、「信仰を深めていく中で平和との一致が見えてくる」と話し、現在では本会も平和活動に積極的に取り組んでいることを伝えた。
また、懇談では核軍縮の問題が話題に上った。同共同体では今後その分野に注力していくというバルトリ理事長の話に対し、光祥次代会長は本会だけでなく日本の宗教者は、長い歴史を持って核軍縮に関心を寄せ続けてきていると強調。ウクライナとロシア、イスラエルとパレスチナの対立などで、人々の関心が高まっている今まさに考えていかなければいけない問題ではないかと思うと述べた。
さらにバルトリ理事長は、世界が戦争や核兵器といった暴力に向かって舵(かじ)を切っていることに憂慮を示し、「この現状を見て、マルコ・インパリアッツォ会長は、『世界が正しい方向に向かうように』と光祥さまに一緒に声を上げて頂きたいと考えているのだと思います。世界は今、方向転換をする必要があります」と訴えた。
光祥次代会長は、どんなものも、それをプラスに使うかマイナスに使うかは、利用する側の人間の問題で、そうした意味では宗教がしっかり関わっていくことが大事であると、バルトリ理事長の話に賛同。「今までと同じ行動を続けるというよりも、歴史を前提にしながら、新しく向き合う形を宗教界全体で考えていかなければいけない時期に来ているのかもしれません。そのお誘いに来てくださったように感じます」と語りかけた。
懇談ではこのほか、本会の式典や経典の翻訳などについて語り合った。