東京佼成ウインドオーケストラ 「2024―25シーズンラインナップおよび新指揮者等体制」発表

ステーションコンファレンス池袋で行われたTKWO記者発表会(壇上左から勝川氏、大井氏、林田氏)

11月13日、東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)の「2024―25シーズンラインナップおよび新指揮者等体制」記者発表会が、ステーションコンファレンス池袋(東京・豊島区)で行われた。TKWOの勝川本久理事長、大井剛史正指揮者、林田祐和コンサートマスターが登壇し、来年度の活動方針やコンサートスケジュールなどを発表した。

冒頭、勝川理事長が、昨年4月から一般社団法人として活動するTKWOへの応援、声援、またクラウドファンディングへの支援に対する謝意を述べた。その上で、来年4月から、現・正指揮者である大井氏の常任指揮者就任を発表。「楽団にとって常任指揮者の存在は重要で、常に楽団の歴史の転換点に関わってきました。TKWOは新しい段階に入り、大井氏の音楽に対する知見と情熱をもって、一貫性のある音楽的ビジョンを達成すべく、就任頂きました」と期待を寄せた。

続いて、大井氏が就任の経緯について、「常任指揮者は、私自身にとっても意味深いポジションなだけに、非常に悩みました。しかし、愛するTKWOの未来を、愛する楽団員と共に築いていきたいと思い、決断しました」と語った。次いで、林田氏が「大井さんと共につくるTKWOならではの音楽を多くの方に聴いて頂き、伝統を守りつつ、進化していく演奏を感じて頂けるように努力したい」と述べた。

また、新たに「楽芸員」というポストを設け、作曲家の中橋愛生氏が就任することが伝えられた。「楽芸員」とは、TKWOにおいて、吹奏楽の研究、調査、普及を目指し、楽曲解説の執筆やトークイベントを行う。中橋氏はビデオメッセージの中で、「博物館や美術館の学芸員のように、音楽、吹奏楽の‟楽”芸員として、多くの方々に音楽を深く味わって頂くために務め、TKWO、さらには吹奏楽の魅力を伝えていきたいと思っています」と意気込みを語った。各定期演奏会の前に、大井氏と中橋氏によるトークイベント「TKWO吹奏楽カフェ(仮称)」が予定されている。

今後5年間の方針については、勝川理事長が『つくる。つつむ。つなぐ。』とのキャッチコピーを紹介。「音を創り、音で包み、音をつなぐことで楽団、ひいては吹奏楽界全体の発展に寄与すべく、活動を行うこと」と説明し、新曲の委嘱、定期公演数の順次増加、過去委嘱作品の再演、マスランカ・チクルス(作曲家マスランカの作品を連続して演奏するコンサート)などに取り組むと述べた。

常任指揮者に就任する大井剛史氏のコメント

来年4月から常任指揮者を務めさせて頂くことになりました。正指揮者としてのこれまでの10年間を礎に、吹奏楽の新しい地平を切り拓(ひら)いていきたいと、意欲に燃えています。

今後5年の間に、お客さまも楽団員も私も、楽しみを味わえるようなプロジェクトに取り組んでいきます。その一つが、マスランカ・チクルスです。マスランカの作品は、吹奏楽の常識を超え、独自の世界を構築しています。しかし、その根源には、精神的苦難を乗り越え、大地に根差して生命あることに感謝しながら生きる彼の人生観があります。そうした内容の深い音楽をお客さまと分かち合うことで、共に本物の音楽を感じて頂けると信じています。

TKWOの果たすべき役割は、吹奏楽界全体を前に進め、吹奏楽を聴く喜び、楽しみを広げていくことです。演奏会のほかにも、中橋さんをパートナーとして、多くの人たちが吹奏楽に親しみ、興味を持って頂く機会をつくっていきます。どうぞよろしくお願いいたします。

詳しくはTKWOプレスリリース
https://www.tkwo.jp/information/news/20231113-press.html