「クリスマスはパレスチナ紛争の犠牲者に哀悼を――ヨルダンのキリスト教指導者」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)
COP28に提言する世界の諸宗教指導者
アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで11月6、7日の両日、「第28回国連気候変動枠組み条約締約国会議」(COP28、11月30日~12月12日)に向けた世界諸宗教指導者の提言をまとめる「世界信仰サミット会議」(「良心の合流点会議」)が開催された。
同会議では、「COP28に向けた諸宗教によるアブダビ宣言文」が採択された。イスラーム・スンニ派最高権威機関「アズハル」(エジプト・カイロ)のモハメド・アル・ドゥワイニ教授(タイエブ総長代理)、バチカン国務省長官のピエトロ・パロリン枢機卿(教皇代理)、正教会のコンスタンティノープル(現トルコ・イスタンブール)・エキュメニカル総主教であるバルトロメオ一世、世界教会協議会(WCC)のジェリー・ピレー総幹事、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)国際共同会長のデビッド・ローゼン師(ユダヤ教ラビ)、インドネシアのウラーマ評議会のモハメド・チョリル・ナフィス議長など、約30人の諸宗教指導者が署名した。
宣言文では、世界から参集した諸宗教指導者が「地球の気温上昇を1.5度に抑え、気候変動の影響を大きく受ける傷つきやすい共同体に奉仕する」ことを誓約。「我々の慈愛する地球を危険に陥れる気候変動の激化に対する憂慮を共有し、この地球レベルの危機に一緒に挑戦していく努力」を表明した。
さらに、目的の達成に向けて、「持続性のある発展を強化するため、COPの開催期間中や終了後も、諸宗教の指導者、より傷つきやすいグループ、青年、女性組織、科学者の共同体などと包括的な対話を展開していく」と約束。代替エネルギーへの移行の促進、自然との調和を崩さない循環型の生活形態や経済の大切さを強調した。そして、環境危機の根本的な原因に「欲望と自己中心主義」があると指摘。気候変動の要因をつくった責任を負う先進諸国は、気候変動の最も強い影響を受ける開発途上国に援助の手を差し伸べるよう訴えた。
宣言文は、COP28で議長を務めるUAEのスルタン・アル・ジャーベル産業・先端技術相に手渡された。アル・ジャーベル議長は、「全世界が傾聴することを必要とする強力な意思表示の宣言文」「緊急性、一致、責任、希望の宣言文」と評価し、COP28を含めて世界に宣言文の内容を伝えると約束した。
また、「世界信仰サミット会議」では、世界人口の約80%が何らかの宗教を信仰しているという統計を示し、「自身の共同体で信徒たちの気候変動に対する意識を覚醒させる責任」「信徒たちが気候変動に対して具体的行動を起こすための指導者によるさらなる努力」「諸宗教指導者による、個人レベルでの気候変動への正しい対処、世界の政治指導者たちに対して具体的な対策を行うよう協調して訴える努力」についても話し合った。