東京都慰霊堂での墨田教会の奉仕活動に感謝状 いのちの尊さに目覚める機縁に

東京都慰霊堂で営まれた「秋季慰霊大法要」で、墨田教会は「お塔婆法要」の受付を担った

関東大震災から100年の節目を迎えた9月1日、東京は厳しい残暑に見舞われた。東京都慰霊堂(東京・墨田区)では関東大震災および東京大空襲の犠牲者の冥福を祈る、「秋季慰霊大法要」(主催=公益財団法人東京都慰霊協会)が営まれ、多くの人々が供養に訪れた。

立正佼成会墨田教会は、同大法要で、「お塔婆法要」の受付を担った。立て看板には“お塔婆法要処”と書いてあるが、「ご遺骨のご安置場所はどこですか」「トイレは?」「犠牲者名簿はありますか」など、さまざまな問い合わせに、会員たちは親切に対応した。遺族の一人は「車いすの姉とお参りに来られるのも、こうして法要の準備をし、案内してくださる方がいるからです」と感謝を口にした。

青年部庶務の女性(47)は、6年前から毎年、奉仕活動に参加している。「小学生の頃に、慰霊堂と同じ敷地にある復興記念館に社会科見学に来てから、慰霊堂にお参りしています。私にもできることをと思い、受付のお役を快く引き受けました。ご遺族の方々から震災や戦災当時の貴重なお話を伺い、改めていのちの尊さを感じています」と話した。

関東大震災および東京大空襲の犠牲者、約16万3000柱の遺骨が安置されている同慰霊堂で、墨田教会が奉仕活動を始めたきっかけは、庭野日敬開祖のひと言だ。昭和40年8月15日、庭野開祖が同慰霊堂に参拝した際、「祀(まつ)られている仏さまのご供養をさせて頂くといいですよ」と語った。

以来、慰霊堂の清掃奉仕に始まり、慰霊供養、関東大震災が発生した9月1日と東京大空襲が起きた3月10日に執り行われる大法要の受付、塔婆の浄書など、50年以上にわたり奉仕を続けてきた。また、平成22年からは、平和学習で慰霊堂を訪れる他教会の受け入れも行っている。

東京都慰霊協会から授与された感謝状を受け取る安間紳雄墨田教会長

このほど、同慰霊堂での長年の取り組みに対して、東京都慰霊協会から感謝状が授与された。9月1日、大法要後に同区内のホテルで開催された「関東大震災 100年の集い」(主催=同協会)の席上、安間紳雄教会長に手渡された。

奉仕活動責任者の渉外部長(51)は「自らのいのちの尊さに目覚める機縁として、震災や戦災の教訓を次代へ語り継ぐことが、墨田教会の因縁使命だと思っています」と話した。