WCRP日本委 トルコ・シリア大地震の現状学び、今後の支援活動を考えるオンライン学習会

質疑応答で、参加者の質問に答えるダダム氏(下段左から)、景平氏、大野木氏(「Zoom」の画面)

今年2月6日に発生したトルコ・シリア大地震から7カ月が過ぎた。5万人超が犠牲となり、今も多くの住民が避難生活を強いられている。依然として支援が行き届かない地域もあり、生活再建への道筋はまだ見えていない。こうした状況を受け、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会の災害対応タスクフォースは9月9日、被災地の現状を学び、今後の支援活動の在り方を模索するため、オンライン学習会「2023年トルコ・シリア大地震支援の現状と課題、そしてこれから」を、ウェブ会議システムを使って行った。宗教者や賛助会員ら約60人が参加した。

同日本委は発災直後、10年以上続く内戦の影響で支援体制が整っていないシリア国内で、被災者の救援活動にあたる2団体に支援金を緊急拠出。さらに、現地での取り組みを継続するため「トルコ・シリア地震緊急支援募金」を実施し、避難所の運営、食料や医薬品といった物資の配布、子供たちの保護などを行う国内外の6団体に浄財を寄託した。

当日は、黒住宗道同日本委タスクフォース責任者(黒住教教主)の開会挨拶、安勝煕同日本委平和推進部長による支援活動の報告に続き、支援先3団体の代表者が被災地域の現状や活動内容を発表した。

トルコのNGO「Önder Organization for Cooperation and Development」でプログラムマネジャーを務めるナジーブ・ダダム氏は、同団体がシリア北部で取り組む子供たちの教育に関する支援活動を詳述。地震で損壊した教育施設の復旧や教育体制の整備、教師や生徒の心理的ケアを行っていると説明した。さらに、衛生環境の悪化でコレラが流行しており、給水タンクの交換や井戸の掘削による清潔な水源の確保が重要になっていると語った。

認定NPO法人難民を助ける会(AAR)トルコ駐在代表の景平義文氏は、被災者の居住地に言及した。市街地の住民は、被災地域外の親戚宅や政府が設置した公式の仮設住宅などに身を寄せている一方、農村部の人々は生業(なりわい)である農業や家畜の世話を続けるため、自宅の庭などにテントやコンテナを建てて生活しており、支援が届きにくいと指摘。AARでは8月末までに、農村部の住民約7万8000人に食料と衛生用品を届けたと報告した。

認定NPO法人パルシック・トルコ事務所代表の大野木雄樹氏は、行政機関などと協力し、同国の中心部から遠方にある、国境付近の町といった支援の行き届かない地域や、震災以前から困窮する人々に、寄付金や物資の支援を行っていると発表。「これからも、被災者の生活全般を改善できるような活動をできれば」と語った。

この後、『今後の支援活動に求められるもの』と題し、現地報告した3氏が提言した。この中で、ダダム氏は、短期的な支援として教科書や文房具などの学用品、越冬するための毛布や暖房器具が必要と強調。景平氏は、復興に向け重要な役割を担う民間セクターの脆弱(ぜいじゃく)さを指摘し、中長期的な復興を見据え、そうした組織や地域コミュニティーの強化と人々の自立を支援していく大切さを語った。また、大野木氏は、トルコとシリアの両国間にある民族対立に触れ、違いを超えて協力する関係構築の大切さを述べた。

この後の質疑応答では、現地で今必要とされる物資の種類やシリアでの女性の就労状況、日本からのボランティア派遣の必要性などについて意見が交わされた。