令和5年次「壮年(ダーナ)総会」 一隅を照らし、惜しみなくつながる壮年の在り方を学ぶ

令和5年次の「壮年総会」がオンラインで開催され、周囲と明るく触れ合いながら布教に励む理想の壮年像について模索された

立正佼成会の令和5年次「壮年(ダーナ)総会」が7月30日、法輪閣(東京・杉並区)を会場にオンラインで開催され、庭野光祥次代会長が臨席した。テーマは『一隅(せかい)を照らす 私はどこに?』。総会では、体験発表やディスカッションを通して、周囲と明るく触れ合いながら布教に励む理想の壮年像について模索された。会場の模様は全国の壮年部員に向けてライブ配信された。

壮年総会は、全国の壮年部員が主体的な布教の在り方を確認するとともに、「今後の日本を牽引(けんいん)する壮年菩薩・ダーナの力を結集する」ことを目的としている。

当日は、昨年の総会を振り返るオープニング映像の上映後、『一隅を照らす その位置』と題し、Mさん(52)=米沢教会壮年副部長、豊中教会壮年副部長(47)ら4人がディスカッションを行った。

冒頭、会場では「一隅を照らす」という言葉の意味が説明され、それぞれが直面する状況を大切に受けとめ、自らの役目を誠意を持って果たすことが、「一隅を照らす」ことにつながると確認された。

続いて、Mさんが、2018年の「壮年総会」で出会った市川教会教務員(62)を通し、長年にわたる父親との確執を乗り越えた経験を基に、Kさん(52)=石巻教会壮年庶務=と関わったエピソードを発表した。

Mさんは、青年部時代に父親との不仲を心配して励まし続けてくれたKさんが大病を患ったことを知り、本人に会いに行った当時を披歴。じっくりと語らううち、Kさんも自分と同じように青年の頃から父親との不仲で悩んでいることを知った。さらに、関係改善に向けて過去の自分の経験を伝えるなど触れ合いを重ねるうちに、「皆と仲良く暮らしたいと願うのが人間の本心だと気づけました」と話した。

続く『一隅を照らす その煮』では、光祥次代会長とKさんとの対話の時間が持たれ、Mさんが同席した。

Kさんは、漁船用エンジンの整備工場を経営する父親と共に働くが、仕事に厳しくKさんの努力を認めない父親に対するつらい気持ちにふたをし、いずれ会社の経営を引き継ぐ覚悟が持てない苦悩を吐露。光祥次代会長からの問いかけに答えながら内省するうち、父親が自分を支えようとしていること、経営を安心して任せてもらえる自分になりたいというKさんの思いに応えるため、厳しく接していることに気づけたと語った。今後は、自分の本心を父親にさらけ出し、経営を引き継ぐ覚悟を持って、家族の支えに感謝して業務に邁進(まいしん)することを誓った。

これを受けたMさんは、悩みながら行動するKさんをかつての自分と重ね合わせ、勇気をもって行動を起こそうとするKさんの頑張りにエールを送った。

光祥次代会長は、KさんとMさんが腹を割って話し合い、互いに惜しみなくつながろうと努力する姿をたたえた

最後に、「お言葉」を述べた光祥次代会長は、人間の心と体との関係について、病気が体からの休養や治療を求めるメッセージだとすれば、悩みも心からの何らかの対応を求めるメッセージであると明示。それを直視せず、感情を鈍らせてしまうと思考停止に陥り、心も頭も活動せずに行動できなくなり、いつしか大きな悩みを抱えてしまうと説明した。そのため、苦悩が生じた時には自分が今いる位置を知り、俯瞰(ふかん)してみることが大切であり、それによって初めて進むべき道が見えてくると話した。

また、苦悩と向き合う覚悟や勇気を持てない時は孤独を感じがちだからこそ、胸の内にため込んだ感情を誰かに受けとめてもらうことが行動するためのエネルギーになり、結果的に物事も変化していくと強調。つらい思いを聞いてくれるサンガ(教えの仲間)は本当に重要であり、「人々が分断されてしまったコロナ禍の後、人と人とのつながりを取り戻す、惜しみなくつながる」という一隅を照らすような壮年の存在が、これまで以上に大切になると述べた。