本会独自の環境配慮活動 昨年次の運用実績を発表

「リユース」が社会にさらに普及することで、環境負荷がより一層削減されると語る戸部会長(「Zoom」の画面)

立正佼成会本部(東京・杉並区)はこのほど、「本会独自の環境配慮活動」(Rems)に関する2022年次の運用実績を発表した。

Remsは、18年に始まった本会独自の環境マネジメントシステム(EMS)。09年、「いのちの尊重」「共生の実現」「簡素なライフスタイル」を「基本姿勢」として本会が公表した「環境方針」に基づき、15年まで取得していた国際規格認証「ISO14001」に沿って教団本部が策定したものだ。本会は「環境配慮活動は菩薩行の一環」と捉え、国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)への貢献など、事務庁舎をはじめとした教団本部施設で生じる環境負荷を軽減する取り組みを続けている。

報告書によると、昨年に教団本部施設で消費されたコピー用紙の総枚数は一昨年に比べて122万500枚、エネルギー使用量(炭素排出量)は71トン増加。一般廃棄物量は1万4035キロ減少したことが示された。

この結果についてRems事務局は、事務所で勤務する職員の数が増えたことから、コピー用紙やエネルギーの使用量が増加したのではないかと分析した。また、各部署による環境意識の高まりにより、一般廃棄物量の減少につながったとしている。

同事務局は、本部職員の環境意識を高める活動にも力を入れており、6月2日には職員研修を実施。空き瓶(びん)や空き缶といった資源のリユース、リサイクル関連事業を展開するトベ商事の戸部昇会長が『誰もが出来る地球環境問題への取り組み―川下から見た環境型社会―』をテーマに講演した。

この中で戸部会長は、国内で生産された瓶、缶、ペットボトルなどが資源として回収される割合は90%前後で、リサイクル率を国際比較しても高水準にあると説明。しかし、廃棄物を製品の原材料として再利用する「リサイクル」は、原材料は節約できても、生産過程でのエネルギー消費は依然として必要になると指摘した。

一方、ビール瓶や一升瓶に用いられる「リターナブル瓶」のように、使用済みの容器を洗浄するなどして繰り返し使う「リユース」は、容器が不足した際に補充すれば良いため、環境負荷の削減、SDGsの達成にもつながると述べた。その上で、環境に配慮した商品を増やすには、市民一人ひとりが環境意識を持って商品を選ぶといった賢い消費行動が不可欠と強調。消費者として、そうした商品を求める声を小売店に伝えることが、生産者への意思表示にもなると語った。