「国際カリタス 新会長に菊地功大司教を選出」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

インタビューに答える菊地大司教(カーシャ・アルテミアク撮影)

国際カリタス 新会長に菊地功大司教を選出

国連の救援機関に次ぐ世界最大の民間救援活動団体「国際カリタス」は5月11日から16日まで、『兄弟愛の新しい歩みを構築するために』をテーマに第22回総会をローマで開催し、13日の役員選挙で菊地功カトリック東京大司教区大司教(神言会、世界宗教者平和会議=WCRP/RfP=日本委員会評議員)を新会長に選出した。

国際カリタスは、世界に散在するカトリック教会の救援組織の連合体として1951年に創設された。国際NGOとして世界200の国と地域で救援活動を展開している。

162の国別組織を代表する400人の指導者から信任を得た菊地大司教は、選出直後のスピーチの中で、「貧者、より弱き人々を受け入れ、彼らに付き添い、奉仕し、擁護していくカリタス」の役割を強調した。さらに、ローマ教皇庁外国宣教会(PIME)の国際通信社「アジアニュース」のインタビューでは、選出されたことに驚きを表しながらも、「国際カリタスが直面している『困難な時』」に言及。「連合体のメンバー間に一致を再構築するために最善を尽くす」と約束した。

菊地大司教が指摘する「困難な時」とは、ローマ教皇フランシスコによって会長、副会長、事務局長などの上層部が一掃された国際カリタスが、ローマ教皇庁の“監視下”に置かれていることを指す。危機的状況に関する内実は明かされていないが、「ローマ中央オフィス内での指導層の不和」が原因と推測されている。

再建を目指す国際カリタスが菊地大司教を新会長に選出した理由は、日本人カトリック聖職者としては異色なキャリアにある。

菊地大司教は、1958年に岩手県で生まれた。カトリック修道会の神言会に入会し、86年に司祭叙階。その後、8年にわたりアフリカ・ガーナの村落で主任司祭として宣教活動に従事した経験を持つ。また、90年代にはザイール(現コンゴ民主共和国)のブカブに設置されたルワンダ難民のキャンプで、カリタスジャパンのボランティアとして奉仕活動に従事。帰国後、1999年から2004年までカリタスジャパンの執行委員を務めた。

04年に教皇ヨハネ・パウロ二世によって新潟教区司教に任命され、07年から22年までカリタスジャパンの責任司教を務めた。11年には、東日本大震災の被災地でカリタスジャパンによる救援活動を指揮。同年、カリタスアジアの総裁にも任命された。

17年には、教皇フランシスコによって東京大司教に任命された。流暢(りゅうちょう)な英語を話す日本人大司教が国際カリタスの新会長に選出された背景には、現教皇によるカトリック教会刷新のモットーである「貧者の選択」と、(福音宣教のため)「外に出ていく教会」の精神を長年にわたり実践している菊地大司教の活動が評価された側面もある。

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