東日本大震災から12年 各教会で追悼の祈り 十三回忌の法要を厳修
仙台教会は11日、教会道場で「東日本大震災慰霊の日」式典を開催。160人が参集したほか、式典の様子はオンラインでライブ配信された。
式典では、近藤雅則教会長を導師に読経供養が行われた後、女性会員(66)が体験説法に立った。
宮城・女川町で民宿を営んでいた母親を津波で亡くした女性会員は、震災以来、当時を振り返ると胸がつぶれる思いだったが、今回の説法の役を機に、母親のことを思い出す心が定まったと強調。今、信仰を心の支えに生きている自分がいるのは、熱心に石巻教会に参拝する母親の後ろ姿や、人生の苦しい時期に寄り添ってくれたサンガのおかげだったと語り、多くの支えによって生かされていることに感謝し、今後はその気持ちを言葉にして伝えることを誓った。
続いて、濵田高志鶴岡教会長が講話。震災当時、東北支教区教務員だった濵田教会長は、同教会道場での避難者の受け入れや炊き出しといったサンガの助け合いの活動について振り返った。
あいさつに立った近藤教会長は、震災から十三回忌を迎えた今、私たちの生き方が問われているとし、「一日一日、目の前の人との出会いを大切にして生きていく」ことが、犠牲者の思いを胸に生きることであると述べた。
午後には、閖上湊(ゆりあげみなと)神社(宮城・名取市閖上地区)の境内にある慰霊塔で近藤教会長を導師に復興祈願・慰霊供養を厳修した。同慰霊塔は、震災翌年、同教会が包括地域内10カ所に建立した供養塔の一つ。復興事業の進捗(しんちょく)に伴って各地の供養塔の撤去が進み、この供養塔が最後の一つとなった。当日は、同教会名取支部、東京、埼玉から訪れた会員約30人が慰霊と鎮魂の誠を捧げた。
同支部の支部長(67)は、「慰霊塔が建立されて以降、支部長たちが協力して、毎月ここでご供養を続けてきました。この地域には、震災で大切な人を亡くした信者さんがたくさんいます。当時を思い出すのはつらいことですが、決して忘れてはならないこと。開祖さまが遺(のこ)してくださった法華経の教え、そして、サンガによる支え合いによって、なんとか十三回忌を迎えることができたというのが正直な気持ちです」と語った。