東日本大震災から12年 各教会で追悼の祈り 十三回忌の法要を厳修
2011年3月11日に東日本大震災が発生し、今年で12年が過ぎた。被災地域を包括する立正佼成会の各教会では3月11日を中心に、新型コロナウイルスの感染防止策を施して教会道場や地域の慰霊碑、浜辺などで十三回忌の法要を厳修。会員たちは犠牲者に思いを馳(は)せ、冥福を祈るとともに、復興への祈りを捧げた。
釜石教会は10日、教会道場で「東日本大震災犠牲者慰霊並びに復興祈願十三回忌法要式典」を執り行い、会員約60人が参集した。式典の模様はインターネットでライブ配信され、会員は地域道場や自宅などで視聴を通して式典に参加した。
式典では、橋本惠市教会長を導師に読経供養が行われ、会員たちは震災犠牲者に思いを馳せるとともに復興を祈願した。
この後、「追悼の言葉」と題して体験説法に立った副主任(77)は、地震による津波で兄姉と親類の5人を失ったことを述懐。震災後、親戚など9人の大所帯で同居生活を送る中、長男夫婦の不安な思いに寄り添えず、別居を申し出され、その後11年間、関係が途絶えた苦悩を吐露した。
昨秋、娘婿の葬儀で再会したのを機に互いに謝罪し、親子の絆を取り戻せたと述べ、「長男はずっと墓参りを続けていました。主人や津波で亡くなった兄姉がご縁をつないでくれたように思え、感謝の気持ちでいっぱいです」と喜びを語った。
次いで、発災時に教会長を務めた小林克州函館教会長、結城利之元教会長、峯坂光重奥羽支教区長が登壇し、復興までの道のりを振り返った。
あいさつに立った橋本教会長は、犠牲者へ真心から供養し続ける尊さを示し、「私たちの使命は大震災の教訓を若い世代に語り伝えていくことです。お世話になった方々への報恩感謝を忘れず、明日に向かって互いに精進させて頂きましょう」と呼びかけた。
この日、司会を務めた主任(59)は閉式の辞で、津波で亡くなった父親が夢枕に現れた体験を紹介。「夢の中で父は私に、あと100メートル高台に上がっていれば俺は死ななかったと訴えました。それはきっと、自身の無念を教訓として、あの日を知らない子供たちに伝えたかったからでしょう。父の代わりに私が伝えていこうと思います」と語った。
これに先立ち7、8の両日には、東日本大震災の被災地慰霊法要および慰霊練行のため、岩手県入りしていた本門法華宗の別所日山管長(大本山妙蓮寺貫首、大隠山淨風寺住職)をはじめ、同宗の僧侶、在家信徒が大船渡道場と教会道場をそれぞれ訪問した。同教会の会員と共に、本門法華宗の儀式作法による「東日本大震災第十三回忌慰霊大法要」を厳修したほか、道場敷地内で、団扇(うちわ)太鼓を鳴らしながら唱題する慰霊練行を行った。
大震災以降、釜石教会は大船渡道場での慰霊法要を通じて同宗と交流を深めてきた。今年は初めて、教会道場で同宗の慰霊法要が営まれた。