中津川教会 サンガをつなぐ毎日の配信 「私の気づき」を共有

中津川教会は、教えを身近に感じられるよう、会員の「気づき」や教会情報を毎日配信している

岐阜、長野両県の12市町村を包括する立正佼成会中津川教会は、広範な地域に暮らす会員同士をつなぐため、コロナ禍以前から、インターネットを活用した法座や研修などを実施してきた。中でも、無料通信アプリ「LINE(ライン)」による毎日の配信は、会員の心の支えとなっている。

きっかけは、教会道場への参拝が困難な会員が増えたことだ。山間部を中心に、公共交通機関の統廃合が進むとともに、これまで自家用車で教会を訪れていた会員が、高齢を理由に運転免許を返納するケースが増えた。そうした会員が取り残されない教会活動の在り方を模索する中で、増田貴正教会長は、会員の多くが日常的に使うLINEに着目した。

増田教会長は、教会道場のインターネット環境を整え、支部長や主任といった布教リーダーがLINEの操作を学ぶための講習会を開催。「つながる努力を惜しまない」を合言葉に、そこで学んだ会員が地域の高齢会員に使い方を伝えるなど、会員が取り残されない工夫を凝らした。

この間に、同教会は公式LINEアカウントを開設。毎朝7時、教会行事の告知に加え、教会で作成した「命への感謝と誓願の祈りの言葉」などの配信を始めた。中でも、会員が日々の生活で見つけた感謝、教えに基づいたものの見方をつづった「私の気づき」が好評を博している。盂蘭盆会(うらぼんえ)に参加して気づいた先祖への感謝、御本尊勧請をきっかけに抱いた家族への思い、信号待ちで道を譲ってもらった時の喜びなど、自分の心が動いた時のエピソードがしたためられており、書き手の人柄を感じられる点が人気の理由だ。

当初は、支部長や主任に執筆を募っていたが、コロナ禍以降は、自然と会員からエピソードが寄せられるようになり、掲載待ちが20本以上になったことも。増田教会長は「普段から会員さんに、学びや気づきは、『インプットするだけでなく、アウトプットすることが大事』と伝えてきました。コロナ禍の中、一人ひとりが『即是道場(そくぜどうじょう)』の精神で、それぞれの置かれた場所で教えを実践しているからこそ、なかなか会うことのできないサンガ(教えの仲間)とその功徳を分かち合いたいという思いが膨らみ、多くの『気づき』が寄せられているのだと思います」と語る。

「気づき」が教会に寄せられるのは、「朔日(ついたち)参り(布薩=ふさつ=の日)」式典(毎月1日)のオンライン配信の後が多く、庭野日鑛会長の法話の内容や、その日行われる機関誌「佼成」の「会長法話」のかみしめを踏まえたものが多いという。各種研修や教育、法座などの後も同じような傾向が見られることから、教えを学んだ会員が、日頃から自分の心の動きを見つめ、それを発信することが習慣になりつつあると増田教会長は分析する。

会員による気づきの分かち合いは、読み手の学びとなり、ヒントとなって新たな気づきにつながる――そうした好循環が教会内で生まれている。

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