本会が認定NPO法人抱樸の「希望のまちプロジェクト」に対し1000万円 新たな地域づくりに向け支援を決定

10月6日午後、東八幡キリスト教会で贈呈式が行われ、柴垣教会長(左から4人目)が奥田氏に目録を手渡した

認定NPO法人抱樸(ほうぼく)による「希望のまちプロジェクト」に対し、立正佼成会はこのほど、1000万円の支援を決定した。同プロジェクトは、北九州市内に新たに建設される複合型社会福祉施設を拠点に、新たな地域づくりを目指すもの。10月6日、和田惠久巳総務部部長、柿澤伸光同次長(渉外グループ)が、福田昌弘北九州支教区長(福岡教会長)、柴垣多加志小倉教会長らと共に同市の抱樸の事務所を訪問し、奥田知志理事長(日本バプテスト連盟東八幡キリスト教会牧師)に目録を贈呈した。

抱樸は、貧困や孤立に苦しむ路上生活者の支援を行ってきた奥田氏により2000年に設立された。出会いから看取(みと)りまで携わる「伴走型支援」の理念の下、炊き出し、居住設置支援といった公的福祉制度では整わない分野での活動を中心に、現在、27の事業を展開する。

本会が支援する「希望のまちプロジェクト」は、「助けてと言えるまち」「まちを大きな家族に――家族機能の社会化」「まちが子どもを育てる――相続の社会化」という三つの目的を持つ。「子どもの居場所と家族支援」「地域生活サポートセンター」「救護施設」「障害のある方の居場所」「避難所・防災機能」などの機能を備えた複合型社会福祉施設を建設し、全ての人にとっての「居場所」(ホーム)として拠点に据え、新たな「まち」を広げていくことを目指している。

施設の建設予定地は本会小倉教会から約600メートルの場所に位置し、4階建ての1階には地域の人々の交流や支援相談の入り口の役割を果たす大ホールを、上階には要介護認定の段階や障害者手帳の有無を問わない幅広い受け入れが可能な救護施設を備える構想だ。来年9月着工、再来年10月の開所を予定しており、今年7月には、北九州市社会福祉協議会など、地域の団体による希望のまち推進協議会が組織され、「まち」のあり方について検討が重ねられている。

奥田理事長に目録を贈呈 支え合う仕組みを地域社会に

6日午前、本会一行は抱樸の事務所で奥田氏から活動内容などについて説明を受けた後、東八幡キリスト教会に移動。元ホームレス当事者や地域住民有志が交流する「互助会」が年に一度、亡くなったメンバーを追悼する「偲(しの)ぶ会」に参加した。

午後には、奥田氏が同プロジェクトの理念や進捗(しんちょく)状況を報告した。この中で奥田氏は、単身世帯の増加など、人々の生活形態が変化する一方、医療、介護、保健・福祉といった現行の社会保障制度は家族の支えを前提としており、将来、立ち行かなくなる可能性が高く、社会福祉の基盤を家族から地域社会に移す必要があると指摘。その上で、今回のプロジェクトは、他人同士が互いにつながり、支え合う仕組みを地域に広げる役割が期待されるとし、「北九州での取り組みがモデルとなり、全国各地に『希望のまち』が生まれることを願っています」と語った。

さらに、宗教者とは、完成された強い人間ではなく、人は一人では生きていけないことを素直に受けとめた者で、人間の弱さを前提とした社会を創(つく)ることが宗教の役割だと思うと強調。その上で、今回、本会が宗教者として同プロジェクトに協力することに対して謝意を表した。

この後、東八幡キリスト教会で支援金の贈呈式が行われ、柴垣教会長から奥田氏に目録が手渡された。これに対し、抱樸から本会への感謝状が贈られ、福田支教区長が受け取った。あいさつに立った和田総務部部長は、「このような取り組みに協力させて頂けることは、とても幸せなことだと受けとめています。今後は地元の小倉教会、北九州支教区の会員を中心に活動に参画させて頂くとともに、全国の教会の会員にもプロジェクトに関心を持ってもらえるよう伝えていきます」と述べた。

最後に、一行は建設予定地を見学。現在、更地の一角に芝生を整備し、手芸のワークショップやカフェ、マルシェ(市場)などを開催し、人々の集いの場として活用されていることなどの説明を受けた。

「希望のまち」建設予定地。現在はさまざまなイベントが開催され、市民の集いの場となっている