諸宗教対話を求めて旅を続ける教皇――バーレーン訪問(海外通信・バチカン支局)

バチカンのマテオ・ブルーニ報道官は9月28日、ローマ教皇フランシスコが11月3日から6日まで、「対話のためのバーレーン・フォーラム――東洋と西洋の人類共存のために」に参加するため、中東のバーレーンを訪問すると公表した。同国のマナーマとアワリを訪ねる予定だ。

バーレーンのハマド・ビン・イーサ・アール・ハリーファ国王は2021年11月、バチカンに王室外交顧問を特使として派遣し、教皇を同国に招待していた。ハマド国王は、教皇宛ての親書の中で、「諸宗教対話と、さまざまな文化、文明間の理解、促進だけでなく、人類の友愛と全ての人々の共存に関する価値観を公布していく上で、教皇は基本的で重要な役割を果たしている」と評価。教皇が2019年2月にアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビで、イスラーム・スンニ派最高権威機関「アズハル」(エジプト・カイロ)のアハメド・タイエブ総長と共に署名した「人類の友愛に関する文書」に対し、「心からの賛同」を表明した。

教皇はこれまで、「アズハル」への訪問(17年)、UAE訪問(19年)、イラク訪問(21年)、カザフスタン訪問(22年)を通し、一貫して「人類の友愛を基盤とする諸宗教対話と世界平和構築へ向けた諸宗教者の貢献」を説き続けている。

教皇が、ペルシャ湾に浮かぶ33の島で構成されるバーレーンを訪問するのは今回が初めて。同国の憲法は、イスラームを国教とし、「シャリーア」(イスラーム法)を法源と定めているが、「寛容、愛、全ての人々に対する尊敬」の精神に沿って、他宗教との共存を認めている。国内人口の60~70%はイスラーム・シーア派だが、政権を担う王室はスンニ派。バーレーンは、両派間の緊張を緩和していくために、宗教指導者による対話を必要としているのだ。

同国に住むカトリック教徒は、イラク、イラン、レバノン、フィリピンなどからの移民労働者を中心とする約8万人で、総人口(約170万人)の4.7%を占める。バーレーン王室は9月29日、「アズハル」のタイエブ総長も11月3日に同国を訪問し、「対話のためのバーレーン・フォーラム」に参加すると公表した。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)