ユニセフ・アジア親善大使のアグネス・チャン氏 シリア難民の現状を報告

シリア難民を数多く受け入れているヨルダン、レバノン、トルコを4月上旬に訪問した国連児童基金(ユニセフ)アジア親善大使のアグネス・チャン氏(61)による「シリア周辺国訪問報告会」が4月17日、東京・港区のユニセフハウスで行われた。市民約100人が参加した。


報告会で演台に立ったアグネス氏は冒頭、隣国ヨルダンに暮らすシリア難民の状況に言及。難民キャンプがつくられているが、全体の1割しか入所できず、多数の難民は内戦以前からこの地に暮らす親戚や知人を頼って生活していると説明した。しかし、支援は行き届かず、難民登録後に受け取れる現金が少ないため、多くの子どもが低賃金の労働に従事し、教育の機会を奪われていると指摘した。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、シリアでの内戦が続くこの6年間で、国外へ逃れた難民は500万人を超え、国内で避難生活を余儀なくされている人が630万人以上と発表した。総人口の半分に当たる国民が避難を強いられ、全国民の4分の1にあたる人々が国外に逃れたことになる。

©日本ユニセフ協会/2017/S.Taura

さらに、一夫多妻制が認められている同国では、結婚で得られる約30万円の結納金で家族を養うために、12~15歳の女子の結婚が増加しているなど、過酷な現状を報告した。

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