「オンライン一食研修ツアー」開催 日本で暮らす難民と交流し学び深める

ティンウィンさんは参加者に、「政府の弾圧を受けているミャンマーの市民が、今もいることを忘れないでほしい」とのメッセージを送った

「オンライン一食(いちじき)研修ツアー」(主管・青年ネットワークグループ)が9月10日、立正佼成会の本部施設(東京・杉並区)で開催され、ツアーの模様は動画共有サイトを通じて会員約200人にライブ配信された。参加者は視聴を通じて難民支援に関する学びを深めるとともに、日本で暮らす難民との交流を通して深刻な難民問題の一端に触れ、平和への思いを新たにした。

同ツアーは、会員が本会一食平和基金の支援先とオンラインでつながり、国内外の社会問題を学びながら「一食を捧げる運動」に対する理解を深めるもの。今回は、同基金のパートナー団体である認定NPO法人難民支援協会(JAR)の協力を得て実施された。

当日は、同基金事務局長の秀島くみこ習学部主幹(青年ネットワークグループ)のあいさつ、JAR広報部の吉山昌氏による難民に関する研修動画が配信された。この中で吉山氏は、来日して庇護(ひご)を求める人々が故郷を追われた理由に、紛争や迫害などさまざまにあることを深く受けとめて難民申請などをサポートしていると詳述。日本の難民認定数や認定期間が改善されるよう政策提言を行うことも重要であり、今後もそうした活動に取り組むと述べた。

この後、吉山氏がビルマ(現ミャンマー)難民のティンウィンさん(67)に日本での生活状況などについてインタビューした。ティンウィンさんは、同国の民主化運動に関わって迫害を受け、1996年に家族を残して来日した後、99年に日本政府から難民認定を受けて妻と子供を日本に呼び寄せた経験を述懐。アウンサンスーチー氏が国家顧問に就任した頃、運動に携わるため妻と帰国したが、昨年の政変で身の危険を感じて日本に戻り、現在はパソコンなど情報機器のリサイクルを行う企業に勤めていると語った。

さらに、ティンウィンさんは日本語の習得や就労で苦労した経験を披歴。希望を失わずに生きてきたおかげで、今は母国で奮闘する友人たちへ経済的・精神的な応援ができていると話した。また、ロシア軍のウクライナ侵攻に世間の注目が集まる一方で、ミャンマー軍の市民への弾圧に対する世の中の関心が薄くなっている現状を吐露。「ミャンマーで困難な状況に陥る人が今も多くいることを忘れないでほしい」と参加者に訴えた。