佼成学園「創立記念式典」 庭野学園長が諭告 人との調和はあいさつから

諭告に立った庭野学園長は、物や財産で心が満たされることはなく、真の幸せとは何かをつかむことが大事と説いた

創立68周年を迎えた学校法人佼成学園の「令和4年度創立記念式典」が9月7日、大聖堂(東京・杉並区)で開かれた。新型コロナウイルス感染症対策のため、式典の模様はオンライン配信され、佼成学園中学・高校の生徒1202人、佼成学園女子中学・高校の生徒771人は教室での視聴を通して式典に参加した。

式典では冒頭、創立者の庭野日敬名誉学園長の人生の歩み、学園創立に注いだ情熱と願いを紹介する映像が配信された。

続いて、中村憲一郎学園理事長があいさつに立った。中村理事長は、庭野名誉学園長の顕彰胸像が出身地の新潟・十日町市に建てられた際、親交が深かった哲学者・梅原猛氏が寄せた碑文を紹介。法華経による人々の救済をはじめ、諸宗教の共存と世界平和に尽くした足跡を振り返った。その上で、「本学園で学ぶ皆さんには創立者の生き方に倣い、知情意を豊かに育みながら、志を高く掲げ、未来の担い手として歩んで頂きたい」と述べた。

この後、諭告に立った庭野日鑛学園長は、人間生活におけるあいさつの重要性を説示。「行って参ります」の言葉に使われている「参る」には、神仏の素晴らしさをよく学んで帰って参りますとの意味合いがあると話し、日頃から、尊いものを学んで帰ってくるという気持ちで出かけて行くことが大切と述べた。その上で、人と会って「こんにちは」と言葉をかけ合うことは、互いに相手を尊敬して礼を尽くしていることの表れであるとし、人との調和はあいさつから生まれると強調した。

また、人間が生きる上で最も大切な心とは、「只今(ただいま)の心」であると教示。江戸期の僧侶・正受老人の「一大事と申すは、今日(こんにち)只今の心なり。それを疎(おろそ)かにして翌日あることなし」との一節を紹介し、過去や未来にとらわれるのではなく、自らの心を見つめながら今を精いっぱい生きる、その積み重ねが人間の一生と説いた。

さらに、物を得ることに幸福を求めても人間の心は満たされず、真の幸せとは何かということをつかんでいくことが大事と明示。「若い皆さんには、『千里の道も一歩から』の心を大事にして、これからも元気に勉学に励まれることを期待しています」と激励した。