教皇がカザフスタンでの世界伝統宗教指導者会議に参加(海外通信・バチカン支局)

バチカンのマテオ・ブルーニ報道官は8月1日、ローマ教皇フランシスコがカザフスタンの首都ヌルスルタン(旧称アスタナ)を9月13日から15日まで訪問し、同国で開催される「第7回世界伝統宗教指導者会議」に参加すると発表した。

同会議は、1986年に教皇ヨハネ・パウロ二世が世界の諸宗教指導者に呼びかけて、イタリア中部にある聖都アッシジで開催した「世界平和祈願の日」の精神を継承するもの。2003年にアスタナで第1回大会が開かれて以来、3年ごとに開催されており、世界の伝統宗教指導者が集い、宗教、文化、人種などの違いを超え、和解に向けた対話に努めている。

教皇は、ヌルスルタンの「平和と和解の殿堂」で開催される同会議で、開会式と、最終宣言文が読み上げられる閉会式でスピーチする予定。また、初日には、参加者代表との謁見(えっけん)も行われる。

同会議には、ロシア正教会の最高指導者であるキリル総主教の参加も予定されている。両指導者が会見するのかどうかが、今から注目されている。

教皇とキリル総主教は今年6月に聖都エルサレムで会見することになっていた。しかし、バチカンがロシア軍によるウクライナへの侵攻を宗教的な視点から正当化するキリル総主教の立場を考慮し、会見の中止を伝えていた。

一方、ロシア正教モスクワ総主教区外務部は4日、イタリア国内のロシア正教会を訪問中のアントニー新外務部長が、バチカン外務局長(外相)のポール・リチャード・ギャラガー大司教と「バチカンで長時間にわたり、ロシア正教とカトリック教会間における諸問題について懇談した」と明らかにした。両指導者間の懇談では、ヌルスルタンでの教皇とキリル総主教との会見の可能性についても話し合われたと推測されている。アントニー新外務部長は5日、教皇にも謁見した。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)