WCRP日本委 「平和と和解のためのファシリテーター養成セミナー」第2回フォローアップセミナー いのちが大切にされる社会を

受講生たちは、ファシリテーターとしてのスキルアップを目指し、共に養成セミナーを修了した仲間の考案したワークショップに取り組んだ

世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会・和解の教育タスクフォースによる「平和と和解のためのファシリテーター養成セミナー」第2回フォローアップセミナーが7月30日、佼成図書館視聴覚ホール(東京・杉並区)で開催された。今回のテーマは『いのちが大切にされる社会を目指す』。同養成セミナーの第1期と第2期の受講生とスタッフら21人が参加した。

今回のフォローアップセミナーでは、現場での実践に向けて、実際に受講生がワークショップを考案。受講生同士で体験し合うことで学びを深め、スキルアップを図ることを目的に実施された。

当日は、上智大学グリーフケア研究所客員所員で、佼成病院のチャプレンを務める伊藤高章氏が講義を行った。伊藤氏は、いのちが大切にされる社会について「生政治」の観点から考察。領土や権力だけでなく、現代では「誰を生かすか」「大切にされるべきいのちは何か」など人々の「生」までもが政治に支配されていると説明した。その上で、ラテン語の「immunitas(他者を排除する)」と「communitas(他者を受け入れる)」という言葉を取り上げて、私たちの社会では「障害者」や「外国人」などのように共同体の外側に対して線引きしていると指摘。いのちの尊厳をどう守るかという問題を考える時、この線引きが影響を及ぼすことがあると話し、「“私”を大事にしながら、自分以外の人を助けるとはどういうことか。この正解のない問いを、平和や和解に携わる者として自問し続けることが大切」と語った。

光祥次代会長が総括コメント

この後、受講生によるワークショップの時間が持たれた。2期生で立正佼成会江東教会会員(45)と福知山教会会員(44)は、欧米のホスピス(終末医療施設)で開発されたといわれる「死の体験旅行」というワークを実施。参加者は、家族や友人、思い出の場所など自分にとって大切なものを20個書き出した後、江東教会会員と福知山教会会員のナレーションに沿ってそれらを手放していき、その行程を通して命を終えるまでの喪失感を体験するとともに、今後どう生きていくのかを確認した。

続く「幸せの木ワークショップ」では、2期生の女性(44)をファシリテーターに、自分の願う幸せとは何かなどについて語り合った。

最後に、総括に立った同タスクフォース運営委員の庭野光祥次代会長は、「養成セミナーは、価値観の違いや矛盾を超えていく力を養う場」であると話し、「さまざまな矛盾を抱えた私たちが、矛盾を超えるために共に学び合えたことをうれしく思います」と述べた。