法輪閣で「壮年(ダーナ)総会」 オンラインで開催 周囲への感謝伝える契機に

昨年に続き、インターネット中継で開催された「壮年総会」。「ありがとう物語」の発表などが配信された

『清水の舞台から跳び上がれ! 「ありがとう物語」で一隅(せかい)を照らす』をテーマに立正佼成会の令和4年次「壮年(ダーナ)総会」が7月24日、法輪閣(東京・杉並区)からオンラインで開催された。総会には、庭野光祥次代会長が臨席。壮年部員による「ありがとう物語」(功徳)の発表やディスカッションなどが行われた。全国の壮年部員らは、インターネットによる配信を通して総会に参加した。

当日のオープニングでは、歴代の「壮年総会」を振り返る映像を上映。実行委員会のT副議長(66)=船橋教会壮年部長=があいさつに立ち、全国の壮年部員に「自分の心のふたを開けて語り合う一日になればと思います」と呼びかけた。

B副議長(58)=江戸川教会壮年部長=を導師に「平和祈願供養」を厳修した後、「ありがとう物語 Part1」と題して、壮年部員が家族をはじめ、大切な人に感謝を伝えられた喜びや、感謝をうまく伝えられないことへの葛藤などを発表。事前収録の動画で、T高鍋教会壮年部長(62)、K奈良教会壮年部長(51)、E議長(57)=御殿場教会壮年副部長、A副議長(55)=函館教会壮年部長=の4人がそれぞれの体験を語った。

この中でA副議長は、娘が重い病を患い、不安でいっぱいの中、佼成会の教えやサンガ(教えの仲間)の励ましを頼りに娘を支え続けた日々を述懐。自身の理解者であり、陰で支えてくれる妻にも深く感謝していると話し、娘もおおむね健康になった今、「これからも、来世も妻と一緒にいたい」と思っていることを打ち明けた。

次に、「跳ねるディスカッション」では、教育グループの阿部行成スタッフと新倉康友スタッフが進行役を務め、E議長、A副議長、T副議長の3人がパネリストとして登場。両スタッフは3人に対し、身近な人に「ありがとう」を言うために心がけていることや、思い切って気持ちを伝えてみた功徳などについて質問。これを受け、議長は、気丈で人に頼ることが苦手な母と我(が)の強い自分が衝突することも多かった過去を吐露した上で、母と自分の妻が日頃から何でも話し合う関係でいてくれることに感謝を示した。生み育ててくれた恩を返すために、「今後は何でも自分に頼ってほしいと、母に素直に言いたい」と話した。

続く「ありがとう物語 Part2」では、T米沢教会壮年副部長(51)による「ありがとう物語」の映像作品が上映された。T壮年副部長は、家族との折り合いが悪い父親を自己中心的だと思い込み、30年以上不仲だったことを告白。仲良くしてほしいと願う自身の息子の声も聞き入れられなかったが、2018年の「壮年総会」で出会った市川教会教務員(61)と触れ合う中で、心境が変化した体験を発表した。父に素直に謝れないはがゆさをくみ取り、「一歩踏み出さないと申し訳ないのでは」とアドバイスしてくれた教務員の優しさに背中を押され、父に謝罪できた喜びを披露。父も自身の孤独感を打ち明け、見違えるように関係が改善したと述べた。人生が変わる影響を与えてくれた全ての人に感謝した上で、「相手を受け入れ、背中を優しく押せる自分になりたい」と誓願した。

「お言葉」に立った“壮年本部長”の光祥次代会長は、壮年が自らの思いを言葉で語る大切さを説いた

最後に、「お言葉」に立った“壮年本部長”の光祥次代会長は、壮年が自らの思いを言葉で語る大切さに言及。言葉は、情報や意味などを伝達するものである一方で、つかみきれないモヤモヤしたものを言葉にすることで、自分の思いが形作られると説明した。その上で、「語ることで自分の思いが深まり、語られた言葉に耳を澄ませることで、お互いがお互いを理解し、自分で自分の思いを発見するのです」と話した。

また、信仰や宗教は、悲しみや苦しみ、怒りなどのマイナスの思いを受けとめて解くための智慧(ちえ)と力を与えてくれるものであり、サンガとは一緒にその負の感情を見つめて、負の感情に向き合う自分を支えてくれる存在であると説示。「否定することも肯定することもなく、ありのまま、そのままの私の思いを聞いてくれるサンガがいれば、私たちは負の感情にふたをすることなく、逆にそれをバネにして飛躍し、糧にして生きることができる」と述べた。

さらに、国の指導者の誤った判断を止められずに戦争にまで発展し、多くの人の苦しみを生んでしまう現実を考えた時、「負の感情に向き合う自分と、それを支えるサンガがいる世界がどれほど大切かを思い知らされる」と心情を吐露。祈りや募金などの平和のための具体的な行動を模索しながら、身近で大切な人に感謝を伝えるというささやかな「自己中心性の放棄」が世界を照らす底力になると述べ、今後の壮年の活躍に期待を寄せた。

同日配信された動画投稿サイト「YouTube」の動画(会員限定)は1年間、視聴できる。