「欧州人民党グループがエキュメニカル総主教区を訪問」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

欧州人民党グループがエキュメニカル総主教区を訪問

欧州議会の最大与党勢力である「欧州人民党グループ」(EPP)。中道右派勢力だが、欧州各国の「キリスト教民主主義政党」を母体として1999年に創設された、最も古い欧州規模の政治勢力だ。今では、欧州の穏健派保守勢力や自由党系の諸政党にも門戸を開放している。その内部には、「諸文化、諸宗教対話のための作業部会」を保有し、対話活動を展開している。

同グループの議員団が7月3日、コンスタンティノープル(現トルコ・イスタンブール)の正教エキュメニカル総主教府を訪問し、バルトロメオ一世総主教と「諸宗教と諸国民間において、平和と相互理解を促進していく正教会の役割」について懇談した。その内容は同日、ニュースサイト「EU Today」によって報道された。

この中で、同総主教と議員団は、「クレムリン(ロシア政府)が宗教を外交政策の道具として使う」という状況に憂慮を表明。「私たちが、善意と尊重を基盤とする恒久の関係を保障する、諸宗教対話を強化していかなければならない」と誓い合った。そのために、「欧州人民党グループは、諸宗教、諸文化間対話の最も古いパートナーである、エキュメニカル総主教区との対話を強化、活性化させていく」と確認。特に、「今は、欧州連合(EU)が結束し、拡大していくための誓いを新たにする上で、決定的な時を迎えている」との確信を表明し合った。

さらに、対話のためには互いが共通の規則と価値観を基盤とし、協力していく意向を持つことが重要と示し、「キリル総主教によって指導されるロシア正教会は、戦争の構築家だ」と非難した。「キリル総主教は、プーチン大統領によるロシア国外での勢力拡大政策を押し広め、追随している」と指摘し、「EUがキリル総主教を制裁の対象から外したのは間違いだった」との意見も出されたとのことだ。

同グループの議員団は、ウクライナ戦争やプーチン大統領の歴史修正主義に対して、明確な反対の声を上げたバルトロメオ一世総主教を支持。「彼が自由、民主主義、法治世界といった価値観を分かち合う指導者である」と敬意を表した。

また、正教会が歴史的に東西の蝶番(ちょうつがい)としての役割を果たしてきたことに言及。「全てのキリスト教徒たちが、手を握り合いながら、ロシアやウクライナといったキリスト教国間の恒常的な和平構築のために協調していかなければならない」「キリル総主教とロシア正教会が失敗した時点で、他の正教会の代表者たちが顕著な貢献をしていくことができる」と表明した。

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