ロシア正教会外務部長が交代(海外通信・バチカン支局)

ロシア正教会の「聖主教会議」は6月7日、モスクワで会合を開き、モスクワ総主教区の外務部長を13年間にわたり務めてきたヒラリオン大主教を解任したと公表した。ヒラリオン大主教は、聖主教会議の常任メンバーからも外された。新外務部長には、ハンガリー・ブダペスト教区のアントニー・ディ・コルスン大主教が任命された。バチカンの公式ニュースサイトである「バチカンニュース」が同日、伝えた。

ロシア正教会内部でもキリル総主教に次ぐ重責者の解任に関し、同主教会議はその理由を何も明らかにしていない。だが、キリル総主教の説く、ロシアによるウクライナ侵攻擁護のための説話を、公的に、そして、明確な形で支持してこなかったヒラリオン大主教が、自ら揺れ動くモスクワ総主教区から離れ、ブダペストで司牧(信徒の指導)や研究活動を続けていく道を選んだのではないか、と推測されている。

このほか、イタリアの「ANSA通信」は同8日、ロシア政府から「ウクライナ軍事特別作戦」を公的に支持するようにとの圧力をかけられていた、欧州ラビ会議(ユダヤ教)のピンチャス・ゴールドシュミッド議長が、無事にハンガリーへ避難したことを報じた。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)