庭野会長「朔日参り(布薩の日)」式典で法話 物事を感謝で受け取る大切さ説く
5月1日、立正佼成会の「朔日(ついたち)参り(布薩=ふさつ=の日)」式典が東京・杉並区の大聖堂で行われ、庭野日鑛会長が法話を述べた。式典の模様は、インターネットでライブ配信(会員限定)された。
式典では、庭野光祥次代会長を導師に読経供養が行われた後、柏教会支部長(60)が体験説法に立った。支部長は数十年来、手どりを続けてきたAさんとの葛藤を吐露。夫婦不和や長男の不登校などの課題を抱えながらも、嘆くばかりで真剣に向き合おうとしないAさんを「面倒くさい人」と決めつけていた自身を省みた。Aさんの長男が起こしたトラブルを機に教会長に助言を求め、共に実践していく中で、つらい心境を共有でき、心を通い合わせられた喜びを発表した。
Aさんとの縁は、苦しむ人の心に寄り添い続ける尊さに気づかせ、自らを仏道に導いてくれた宝だったと述懐。コロナ禍の現在、一つ一つの縁を大事にしていくことを心がけ、SNSを使ってサンガ(教えの仲間)とつながりながら温かな交流を重ねていきたいと誓願した。
続いて法話に立った庭野会長は、目が見える、歩ける、話ができるなど、普段、当たり前と受けとめていることこそ最も大事にすべきものと説示。「あれが足りない」「これが欲しい」と不満を抱くのではなく、「何もない日々」「普通の生活」に心から感謝できるようになると、苦悩は消えてなくなっていくと述べた。
また、『般若心経』に示された「色即是空」の教えについて、コップに半分注がれた水を例に挙げて説明した。事実は同じでも、それを見る人間の色づけによって受け取り方は一人ひとり違うと指摘。否定的に物事を見るのではなく肯定的、さらには感謝の心で受け取ることが、幸せな生活に結びつくと説いた。
さらに、「縁起の法」について触れ、この世の全ての現象は互いに関係し合って成立しており、独立したものはないと明示。「縁起の法」を学ぶことで、親やサンガといった周囲の支えにより、人生は成り立っていると気づくことができるとし、「日頃から、あらゆる人々に感謝し、おかげさまの気持ちを忘れないことが、仏さまの教え」と述べた。